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よく見られる大人の病気・症状

3.内科からみた肩こり [内科から見た肩こり]

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1)肩こり症候群とは

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肩こり症候群
(イラスト1)

(イラスト1)

たかが肩こり、されど肩こり。肩こりでお困りの方は多いと思います。筋肉のこりが肩だけにとどまっていると、そんなに辛くはないのですが、肩の筋肉は首筋や胸・背中につながっているため、肩こりが原因で多彩な症状が起こってきます。肩こりによって起こるさまざまな症状をここでは肩こり症候群と呼ぶことにします。

頭の重さは約4kgもあり、首すじの筋肉が常時、頭を持ち上げるようにして支えているわけです。無意識のうちに首すじの筋肉にはたいへんな力が加わっているのです。人間が直立して歩行するようになってから、肩こりは人間にとって切っても切れないやっかいものになってしまいました。しかし欧米人は骨格が発達しているせいか日本人ほど肩こりを訴えることはありません。また男性と女性では、骨格の華奢な女性に肩こりは多くみられます。

最近は10代の若い人の間で肩こりを訴える人が多くなってきました。10代の若者が肩こりとともに頭痛を訴えることが目立ちます。10代の頭痛については、4.肩こりと頭痛のところで詳しく述べる予定です。

しかしなんと言っても一番多いのは、30歳代から50歳代の女性でしょう。60歳以降ではもちろん肩こりを訴える人はいますが、その数は少なくなっていきます。そのころから腰痛や膝の痛みなど他の部位に問題をかかえるようになるのも理由の一つですが、年齢とともに頚椎が変形し動きが制限されて固定される結果、頚椎が安定し肩こりが軽くなると考えられています。加齢が肩こりには有利に働くのは不思議なことです。

内科に受診される方の中で肩こりが原因と思われることが少なからずあります。多くの場合、自分の症状の原因が肩こりだとは思っては来られません。筋肉のこりが肩だけではなく、首すじや頭部、さらに背部や胸部にも及ぶ結果、頭痛やふわふわするめまいを生じたり、胸の圧迫感や息苦しさを感じるようになります。また筋肉と神経の走行とは密接な関係があり、神経痛の原因となります。肩こりがしばしば頚椎や椎間板の加齢現象や変性による起こるため、神経根症状として上肢(腕)の痛みやしびれ、首すじや背部の痛みを生じることになります。このように肩こり症候群は多彩な症状を引き起こしてきます。

肩こりによって起こる多彩な症状と原因については、4から8のところで詳しく述べることにします。ここでは肩こり症候群の症状について概略します。

2)肩こりと頭痛

(イラスト2) 首筋がこりが強くなってくると、連鎖反応で頭の筋肉がこりやすくなります。頭の筋肉のこりは緊張型頭痛といわれる頭痛を起こしてきます。この頭痛は頭を重たく感じたり、時にはズキズキするはげしい頭痛を起こしたりします。緊張型頭痛では激しい頭痛や重たく感じる程度の頭痛が、強さを変えながら何日も続く特徴があります。頭痛とともに目頭を重たく感じたり、まぶたが重たくなって一日中眠く感じることもあります。強くなると目の奥が激しく痛むようになります。

頭の一部が痛くなることがあるため片頭痛と間違われることがありますが、片頭痛では寝込むくらいの強い頭痛が発作的に起こり、半日から一日ですっとよくなります。片頭痛では頭痛が何日も続くことはまずありません。緊張型頭痛は朝起きた時から起こることも、疲れのたまる夕方から起こることもありますが、寝込むほどではありません。緊張型頭痛は一般の鎮痛薬が効きにくいことがあります。そのような場合には鎮痛薬に加えて筋肉の弛緩剤や抗不安薬(これも筋肉の弛緩作用があるものを使用します)を併用すると劇的に楽になります。

(イラスト3)

首筋の筋肉のこりが強くなると後頭部が重くなったり痛むだけでなく、神経の刺激症状が出てきます。片側の後頭部にときどき電気が走るような激しい痛みが急に起こったり、毛髪をさわるとピリピリする不快な感覚が起こることがあります。このような後頭部の神経の刺激症状は首筋のこりが原因で起こる場合(症候性神経痛)と、肩こりとは関係なく原因不明の神経痛として起こる場合とがあります。第二頚髄からの脊髄神経は大後頭神経とも呼ばれ、片側の首すじから後頭部にかけて分布しています。この神経は毛髪の生えぎわのところで筋肉の圧迫を受けやすくなります。その結果、上記のような症状が起こってくるわけです。

また目頭が重たく感じたり、昼間から眠たく感じたり、目がボーと感じやすくなるのも、肩こりが強いときの特徴です。時には目の奥に強い痛みを感じることもあります。肩こりだけでなく、目の疲れ(眼精疲労)でも同様の症状が起こりますが、この痛みは目の上部に走る神経の刺激が原因と思われます(症候性三叉神経痛)。肩こりが強くなると歯ぐきが浮くように感じることがありますが、これも歯ぐきに走っている神経の刺激症状が原因と思われます(正座をした後に、足のしびれが切れるのと同じ原理です)。

3)肩こりとめまい

(イラスト4) また頭の筋肉のこりが強くなると、ふわふわとしためまい感を起こしやすくなります。ちょうど雲の上を歩いているような感じで、ときにはフーと感じたり、まっすぐに歩いているつもりでもどちらかに傾くような感じが起こることもあります。このようなふわふわした感じや頭痛などが筋肉のこりが原因と診断するためには、高血圧や脳の病気などがないかどうか、専門の医師により診察と検査を受けておく必要があります。

肩の筋肉は胸や背中にもつながっています。したがって肩こりが強くなると、これらの筋肉のこりが強くなります(イラスト1、イラスト2)。胸や背中に筋肉のこりが強くなると、胸の圧迫感を生じるようになります。こうなると息苦しく感じたり、心臓が悪いのではないかという不安を感じるようになります。また全身の倦怠感や微熱、朝起きづらいなどの多彩な症状が起こってきます。

以上のように、肩こりが強くなると首筋や頭の筋肉のこり、さらには全身の筋肉のこりを起こしていろいろな症状を起こしてきます(イラスト1)。こうなると体のどこかに病気があるのではないかと不安感が強くなってきます。適切な診察や検査の結果、他に異常がないときには筋肉のこりを軽くするような治療を受けると、このような症状は良くなってきます。

4)肩こりと自律神経失調

自律神経が肩こり症候群に関与している直接の証拠はありませんが、更年期の肩こりや高齢者のめまいに自律神経が何らかの関与しているのではないかと感じることがあります。

更年期障害では卵巣ホルモンの機能低下により、脳の自律神経系のバランスが崩れた結果、ほてり・冷えのぼせ・動悸などの症状の加えて不安感や気分的に落ち込むなどの自律神経症状が出てくると推測されます。人によっては血圧が変動して急に高くなり倒れるのではないかと不安感が一層強くなります。更年期の女性で肩こりを強く訴える人がいます。このような人に肩こりの内服薬に自律神経調整薬を加えると、劇的に肩こりが良くなるのを経験することがあります。自律神経調整薬により更年期のうつ気分や不安感が改善する結果、肩こり症候群が良くなるとも考えられますが、いずれにしても脳(中枢性)自律神経系が肩こりに深く関係していると考えられるゆえんです。

(イラスト5)、(イラスト6) 中高年の男性に頭重感、首筋のこり、ふわふわするめまいを生じることがあります。年齢的にも脳梗塞などを気にするようになっているせいか、倒れないかと強い不安感を訴えることがあります。年齢とともに動脈硬化が進行し、めまいを起こすことあり、脳底・椎骨動脈循環不全として知られています。しかし脳底・椎骨動脈循環不全だけでは症状を明確に説明できない場合にしばしば遭遇します。頚椎に沿うように椎骨動脈が走っているため、頚椎の変形による動脈の圧迫も当然考えられます。頚椎の周囲には椎骨動脈だけでなく、交感神経(自律神経のひとつ)が帯のように連なっているため、何らかの原因で交感神経幹が刺激されて、より強く症状が出現するのではないかと推測されます。

いずれにしても肩こり症候群が強くなるといらいらしたり、不安感が強くなったり、動悸や息切れ、血圧の上昇などを感じることがあります。これらは自律神経の中の交感神経の緊張症状ですが、肩こりが先か、交感神経の緊張が先か、決めかねる場合がしばしばあります。

5)内服薬による治療

(イラスト7) 肩こりの治療は、整形外科医による診察と治療、針灸師による治療、接骨師による治療、民間治療など様々あります。ここでは治療法の優劣を述べるのではなく、内科医の立場からみた内服治療について述べることにします。さらに、ここに述べる内服治療は本院で独自に行っているもので、必ずしも一般的な治療法ではないことを初めに断っておきます。

医院を訪れる方のほとんどは筋肉のこりそのものではなく、頭痛やめまい、動悸や息切れ、手のしびれや背部痛など他の症状を訴えて受診されます。このような肩こり症候群による症状は、内服薬を工夫することにより著しく良くなります。しかし最も重要なことは、多彩な肩こり症候群の症状が、肩こりによるものだと認識することだと思われます。

肩こりに対する内服治療は、消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、筋弛緩作用のある抗不安薬、症候性神経痛に対する薬など4種類を症状により組み合わせます。自律神経失調による症状が強い時には、自律神経調整薬を別に加えることがあります。ビタミン剤や循環改善薬などは効果が不十分なため本院では使用しません。

肩こりの治療に際して、

  1. 睡眠がよく取れているか、眠りが浅く睡眠が不十分かどうか?
  2. 肩こりの症状が頭痛が主なものか、筋肉のこりが主なものかどうか?
  3. 症候性神経痛としての腕や背中の痛みやしびれを伴うかどうか? 

を特に注意します。これらの症状の有無に応じて、上記4種類の薬の内容を変えます。睡眠が不十分な場合、肩こりは特に治りにくいため、睡眠を助けかつ筋弛緩作用のある抗不安薬を選択します。神経根からの関連痛や放散痛、症候性神経痛に対しては、抗てんかん薬の一種を使用することがあります。

肩こりに対して薬は一日1回就寝前に服用し、1-3日でいったん良くなれば止めます。頭痛が強い時は一日2回服用し、良くなれば中止します。肩こりによる緊張型頭痛は消炎鎮痛薬だけでは効果が不十分でも、筋弛緩薬と抗不安薬を追加すると劇的に効くようになります。内服薬による治療は毎日行わず、辛い時だけ飲むように指導します。

筋肉のこりが強い時は、局所麻酔剤とステロイドの混合薬を局所に注射することがあります(トリッガーポイント注射)。かなり症状が良くなることがほとんどですが、痛みの性質によっては効果的でないこともあります。また肩こり症候群の症状があまり強い時、注射で気分が悪くなることがあるので避けるようにします。トリッガーポイント注射は一時的にはかなり楽になりますが、効果が持続しないため基本的には避けるようにします。

鍼による治療は経験上かなり効果的ですが、緊張感の強い人には逆効果のことがあり注意が必要です。最近10代の若い女性の間に、強度の肩こりを訴える人が目立ちます。若い人に内科的な内服治療が行いにくいことがありますが、鍼の治療が有効なことがしばしばあります。しかし鍼による治療の際、C型肝炎ウィルスなどのウィルス感染に対する十分な配慮がなされていることがきわめて重要です。

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特集:内科から見た肩こり

町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

  1. 肩こりに必要な知識
  2. 肩こりと痛み・しびれ
  3. 内科からみた肩こり
  4. 肩こりと頭痛
  5. 肩こりとめまい
  6. 肩こりと更年期
  7. 肩こりと睡眠・疲労感
  8. 肩こりの内科的な治療

よく見られる大人の病気・症状

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