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よく見られる大人の病気・症状(大人の日常起こりやすい症状や病気について、写真やイラストを用いて分かりやすく解説しています)

微熱

体温とは

発熱とは体温が一日の正常な変動幅(0.6から0.7℃)を超えて上昇することで、ふつう成人では37℃以上を指しています。わきの下で測った日本人の体温平均値は36.9±0.3℃ですが、海外では37.5℃以上を発熱としています。
しかし健康な時でも生理中に体温が高い人(女性では月経終了1週後ころから体温が上昇し、月経開始までの2週間体温が高くなる)が30%はあり、このような人は健康な人でも微熱(37.5℃)を示します。ちなみに脳にある体温調節中枢は体内温度を37℃に調節しています。

日本、ロシア、東欧ではわきの下で体温を測るのがふつうですが、それ以外の国では口腔温、直腸温が常用されています。わきの下の体温は最も低く、口腔温は0.1~0.2℃、直腸温は0.2~0.5℃、わきの下よりも高い値を示します。
わきの下で測った体温が低い人でも口腔温や直腸温ではほぼ一定(37℃近く)の体温を示します。体温は早朝に低く、午後3~5時ごろに最高となり、午前2時ごろに最低になります。

家庭でよく使われる水銀体温計は精度が高く安価ですが、こわれやすい欠点があります。電子体温計や鼓膜体温計では検温時間が短縮されたいへん便利ですが、測定手技の面で問題点もあり(とくに鼓膜体温計)、水銀体温計を上回るものではありません。

発熱物質とは

発熱の原因には、(1)外因性発熱物質と(2)内因性発熱物質があります。

(1) 外因性発熱物質の主なものは、病原菌毒素でグラム陰性桿菌のリポ多糖類やグラム陽性細菌毒素があります。その他には薬物アレルギー、不適合輸血などがあげられます。これらは次に述べる内因性発熱物質と呼ばれる物質を介して発熱を生じます。

(2) 内因性発熱物質としては白血球などから産生されるインターロイキンという化学物質があげられます。このインターロイキンの作用により、脳の視床下部のプロスタグランジンE2合成が増加し、体温中枢が高温側にセットされて発熱を生じます。

解熱剤と発熱

一般にからだの免疫機能や防御機能は高温下でよく働きます。発熱は本来からだに役に立つように作用しているので、できるかぎり抑制しないで、解熱剤の使用よりも原因療法を行う方が大切です。解熱剤の乱用は診断や治療効果の判定を困難にするだけでなく、発汗や悪寒・戦慄をくり返すことにより体力を消耗させることを忘れてはなりません。

解熱剤を使った方がよい発熱は、1)子どもの熱性けいれんの予防、2)大人でも心不全や呼吸不全の例では、発熱により心臓や肺の負担が増加し、解熱剤が必要になります、3)妊婦が発熱すると胎児に影響を与えることがあり、安全な解熱剤が使ったほうが良いことがあります。

微熱とは(イラスト1)

微熱とは
図1微熱とは

37~38℃が一定期間持続するか、一定期間中にくり返し出る場合を微熱といいます。微熱の原因としては、

  1. 感染症(41.6%)、
  2. 原因不明(49.1%)、
  3. 悪性腫瘍(4.9%)、
  4. 膠原病、
  5. 甲状腺機能亢進症(1.3%)、
  6. 薬物アレルギー(1.3%)

です。

原因不明とされたものの中には、神経症・うつ状態などや更年期障害、自律神経失調症が原因と考えられる場合があります。軽度の体温上昇は、一日の時間帯や生活リズム、女性の性周期などによって微妙に変化します。これと病気による発熱を区別することが困難な場合があります。

ふだんは健康な若い女性が微熱を訴えて来院されることがしばしばあります。夕方近くなると倦怠感とともに微熱を生じてきます。37.5℃までの発熱がほとんどですが、月経周期とは異なった微熱の感じと訴えられます。
妊娠を除外することは大切ですが、血液検査などで炎症反応や白血球の変化がないこと、尿検査でも異常がないことなどを示して様子をみてもらうようにします。 

発熱時の検査

本HPの 血液検査で分かること-発熱時の検査をご覧下さい。

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