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よく見られる大人の病気・症状(大人の日常起こりやすい症状や病気について、写真やイラストを用いて分かりやすく解説しています)

胃痛・胃もたれ

Dr.みやけ

胃は伸縮自在なゴムに似ていますが、この弾力性が失われると、食べ物がいつまでも残っている感じになります。これが「胃もたれ」です。

「胃痛」は空腹時にみられたり、食事のあとに鈍痛を感じたりします。
こういった胃の症状はよくみられるもので、日本人の約4人に1人は胃の症状に悩んでいるといわれています。

「胃痛」は胃酸の出過ぎ(イラスト1)

胃痛は・・・胃酸の出すぎ
図1胃痛は・・・胃酸の出すぎ

胃痛は消化性潰瘍があると起こることが多いのですが、胃粘膜に潰瘍がなくても胃に強い刺激が加わると起こることがあります。

胃痛を起こす強い刺激として、胃酸の出過ぎが考えられます。
その原因として不規則な生活、食べ過ぎ、ストレスなどがあげられます。
ほかにも薬の副作用によって胃の保護機能が低下し、胃酸から胃を守れないために起こる胃痛もあります。

「胃もたれ」は胃の運動機能低下(イラスト2)

胃もたれは・・・胃の運動機能低下
図2胃もたれは・・・胃の運動機能低下

胃はぜん動運動により、食べ物と胃の消化液である胃酸を混ぜ合わせて消化し、小腸に送り出しています。しかし、不規則な生活、食べ過ぎ、ストレスなどで胃に過度な負担がかかると、胃の運動機能が低下して、消化がスムーズに行われなくなってしまいます。
そのため胃に食べ物が長くとどまってしまい、胃もたれの原因になってしまいます。

胃のぜん動運動には個人差があります。一般に「胃が強い」といわれる人は、胃のぜん動運動が活発で、食べ物が胃の中に入ってきても速やかにぜん動運動により腸に送り出すことができます。
このような人は夜遅くに食事をとっても朝には胃の不調を感じることはあまりありません。

これに対して「胃が弱い」といわれる人は、胃のぜん動運動が活発でなく、食べ物が長く胃の中に停滞する傾向があります。
体格的には細身の人に多く、検査をすると胃が骨盤の中まで下がっている胃下垂がみられることが多くあります。胃の中に食べ物が長く停滞すると、胃があれやすくなり胃もたれの原因となります。
このような体質の人は特に夜遅くに食事をとると、睡眠中も食べ物が胃に残りやすく、朝起きたときに何ともいえない胃の不快感を感じることになります。

食材の選び方(イラスト3)

胃痛や胃もたれのある人は、できるだけ胃に負担をかけないように消化の良い食材を選びましょう。

胃によい食べもの・さけた方がよい食べもの
図3胃によい食べもの・さけた方がよい食べもの

消化のよい食材

消化の良い食べ物として卵、牛乳、大豆製品があげられます。
卵は半熟が最も消化がよいといえます。牛乳は胃に負担をかけず、胃液の酸性度を抑えますから、胃壁の保護にも役立ちます。少し温めて食間に飲むのもよいでしょう。
また、大豆製品には豆腐、納豆、きなこ、みそなどがありますが、良質な植物性タンパク質を含んだ食品なので積極的にとるようにしましょう。

脂肪は消化に時間がかかるので、肉類の場合は脂肪の少ない鶏肉のささみ、牛・豚のヒレやもも肉などを選ぶと良いでしょう。
また食物繊維が豊富な野菜類も忘れずにとってください。
カボチャ、大根、ニンジン、トマトんどの要に煮込んで柔らかくなるものを選ぶとよいでしょう。

避けたい食材

肉のあぶらみやハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工食品は脂肪が多く、胃に負担をかけるので避けましょう。
また胃を刺激し、胃酸をふやすものとして、香辛料(とうがらし、わさび、こしょうなど)、カフェインを多く含むもの(コーヒー、煎茶など)があげられます。
そして消化の悪い食べ物として、イカ、タコ、貝類、煮込んでも繊維が壊れにくい野菜類(ワラビ、ゴボウ、キノコ類など)があげられます。

調理上の注意

同じ食材でも火を通して柔らかくしたほうが消化がよくなります。
また油であげるよりは、煮る、蒸す、ゆでるといった調理方法のほうが胃に負担をかけません。

こんな食べ方はしていませんか?

胃の症状は胃の機能低下によるもので、その原因の一つに食べ方があります。
胃の負担になる食べ方をしていないか確認し、もし当てはまるようだったら注意してみましょう。

不規則な食事の時間

食事をとる時間がまちまちだと胃の休まる時間がありません。
とくに夜遅くに食事を食べると、睡眠中に胃の中に食べ物が停滞してしまいます。
胃の中に長時間食べ物が残っていると胃があれてしまい、朝起きたときに胃もたれや不快感を生じてしまいます。
少なくとも睡眠前、2,3時間はできるだけ食事はとらないようにしましょう。

早食い・すする

良くかまずに飲み込むように食べる早食いは、食べ物といっしょに空気も飲み込んでしまい、胃が必要以上にふくらんでしまいます。
そして胃がふくらみ過ぎると、胃の内圧が上がるので、それが原因でおなかが苦しくなったり、痛みが出たりします。
すする食べ方も空気を飲み込んでしまうので、胃がふくらんでしまい、胃に負担がかかります。

食べ過ぎ

食べ過ぎて胃に食べ物がいっぱいつまった状態になっても、胃は必要以上にふくらんでしまいます。
そして食べ物が消化しきらずに胃に残ってしまうことがあり、それが小腸に押し出されると、消化がスムーズに行われません。

食事のとり方の注意

  1. 食事時間を規則正しくして、とくに夜寝る2,3時間前の食事は控えましょう。
  2. 腹八分目にしましょう。
  3. 食後は30分から1時間ほど休憩しましょう。
  4. 時間に余裕を持ち、食事を楽しく、おいしくとりましょう。

「胃痛・胃もたれ」の治療

胃痛の治療

胃痛は胃酸が出過ぎるために起きていることが多く、H2ブロッカーなどの酸分泌抑制薬で胃酸の分泌を抑えると症状が軽減します。

胃もたれの治療

胃のぜん動運動を活発にして、消化を促進する薬である消化管機能改善薬を使います。
この薬は胃のぜん動運動を高め、症状の改善に役立っているといわれています。

機能性胃腸症とは

胃に症状があって内視鏡検査をしても、約半数の人の胃には異常がみつかりません。
このような場合には、以前は慢性胃炎と診断されることが多かったのですが、実際には検査をしても炎症がないために、近年こういった所見を「機能性胃腸症」と呼んでいます。

「機能性胃腸症」と診断されるのは、以下ような場合です。

  1. 胃の不快症状が4週間以上続く、
  2. 検査で特に大きな異常が認められない、
  3. 貧血や体重減少がない。

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