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けいれん性発声障害

Dr.みやけ

突然のどがつまったようになって声が出にくくなる、耳鼻咽喉科に駆け込んで調べてもらっても異常は見つからない、心因性だとしても精神安定剤を処方されても、いっこうに改善されない。

こんな症状が続いたら、けいれん性発声障害(SD:spasmodic dysphonia)かもしれません。

患者は20代から30代の女性が中心で高校生にも発症します。
販売職やテレホンオペレーター、アナウンサーなど声を使う仕事の人も目立ちます。

潜在的な患者は2万人以上といわれていますが、実際に診断を受けた人は約2千人と少ないことから、声を失う苦しみが周囲から理解されず人知れず悩んでいたり、職場を追われたり学校でいじめられたりするケースも出ています。
心因性や機能性の発声障害と誤診されるなど、診断までに年数のかかる場合が多く注意を要します。

けいれん性発声障害の症状は、声帯の筋肉が、本人の意志に反して過度に収縮してしまうため、声帯が閉まって声が出なくなる状態です。
声のとぎれだけでなく、のどの締め付けられるような感じ、息苦しさ、声のふるえなどを伴います。
しかし、何が原因で脳が声帯に「閉まれ」という指令をだしてしまうのかは、まだ解明されていません。
錐体外路系という筋肉の自発運動に関係した神経系の障害であると考えられていますが、病態が解明され、根本的な治療ができるようになることが望まれます。

会話中に断続的な声のつまりや声の途切れがみられ、現在では局所的なジストニアの一種と考えられています(ジストニアは急に起こる筋肉の不随意運動の一種です)。
ほとんどが内転型といわれるもので、その原因は甲状披裂筋が過度に収縮するため、声帯閉鎖が強すぎて正常な発声ができなくなります。

根本的な治療はむつかしく、

  1. 医学的なボイストレーニング、
  2. 筋肉の緊張をやわらげるボツリヌス毒の声帯内注射、
  3. のどの軟骨の手術で声帯のすき間を広げる

-など症状に応じた治療が一般的です。

手術の効果は比較的長続きしますが、ボツリヌス毒の効果が続く期間はせいぜい半年で繰り返し治療が必要になります。
ボツリヌス毒注射直後は声がれや誤嚥が出現しやすいこと、保険の適応外で医療費が高く、限られた施設でしか治療が受けられないことなどの問題があります。

けいれん性発生障害で苦しむ人たちのための、インターネットの会員制サイトで知り合ったSD患者らが、互いに支え合い、病気の認知を社会に呼びかけようと「発声障害患者会(SDCP)」が発足しました。
同会のホームページはこちら「発声障害患者会」https://sdcp.info/です。

声帯に器質的な病変を認めないで発声障害を起こす病気としては、けいれん性発生障害の他に心因的発声障害が挙げられます。

心因的発声障害

精神的ストレスや心理的な葛藤など心因的な原因が考えられる発声障害です。
心因性によるものであるかどうか判断が困難な場合もあります。
心因性発声障害は、「ヒステリー性失声症」とも呼ばれ、古くから知られている病態で、突然の失声が典型的な症状です。
女性に多く、思春期から30歳までが好発年齢ですが、小児でもみられます。
器質的異常が認められないのに空気がもれるような声がれを生じます。

発声時には声門が閉じないにもかかわらず、咳払いのような生理的運動時には声門閉鎖がみられるなどの所見が診断の手がかりになります。

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