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よく見られる大人の病気・症状

失 神

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失神は、一過性に脳の血流が途絶え(脳虚血)、一時的に意識を失ってしまう状態です。
脳の一時的な血流障害を起こす原因はいろいろと考えられますが、重篤な疾患が隠れている場合もあれば、原因のはっきりしない一時的な失神も多くみられます。

失神の原因(イラスト1)

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失神のおもな原因
(イラスト1)

失神が脳の一過性の血流障害で起こることはすでに述べましたが、それでは脳の血流障害がどんな場合に意識障害を起こすのか考えてみましょう。脳に流入する動脈は2系統が挙げられます。一つは頸動脈を介する血流で、主に大脳半球に血液を供給しています。もう一つは椎骨・脳底動脈を介する血流で、脳幹部と呼ばれる部分に血液を供給しています。大脳半球は、主に手足や顔の運動や知覚(しびれや痛み)に関係しているのに対し、脳幹部は運動・知覚だけでなく意識に深く関係しています。

脳血栓といわれる病気のほとんどは頸動脈の領域に発症するため、片麻痺と言われる左右どちらかの運動障害や発語障害などが起こりますが、失神などの意識障害は起こらないのがふつうです。失神などの意識障害の多くは、椎骨・脳底動脈系の血流障害で起こってくるものなのです。しかし椎骨・脳底動脈では血管が詰まる血栓症は起こりにくく、失神発作のほとんどは一時的な血流障害が原因で起こってきます。

それではどのような原因で椎骨・脳底動脈の一時的な血流障害が起こるのでしょうか?大きく分けて3つ原因が考えられます。

  1. 自律神経反射を介する一時的な脳の血流障害(いわゆる脳貧血)、
  2. 不整脈、とくに急に心拍数が遅くなるために一時的に心臓が止まってしまう状態(これをアダムス−ストークス症候群といいます)
  3. 脳動脈硬化による椎骨・脳底動脈の循環不全

今まで説明したように、失神の原因としては 1、2 が主なものです。

自律神経反射を介する失神

立ちくらみ、お風呂で長湯した後に起こるフーとする感じもこれに近いものです。意識を失うほどの強いものは、若い女性が長時間同じ姿勢で立っていた時や電車の中なので気分が悪くなった時、急に立ち上がった時(起立性低血圧)、排便・排尿後、睡眠不足や疲れが蓄積した時などに起こりやすくなります。

血液自体に重みがあるため、足に向かって下方に落下しようとしていますが、正常では動脈が収縮して血液が落下して脳の血流が少なくならないようになっています。血管収縮作用が急に失われた時や鈍くなった時には、脳の血流障害から失神発作が起こることがあります(血管迷走神経反射)。実際にはこれが原因で起こる失神が最も多いと考えられます。

この失神は急に起こることもありますが、目の前が暗くなったり自分が倒れる直前までぼんやりと分かっていることが多いのが特徴です。

不整脈が原因の失神(イラスト2)

脈が急に遅くなる徐脈性不整脈は、アダムス−ストークス症候群と呼ばれます。一時的に心停止が起こる結果、失神発作が急に生じる危険な状態です。自律神経反射による失神と違い、前ぶれなく急に起こるため、自分では何が起こったのか分からないことがほとんどです。

不整脈の起こっていない時には心電図が正常のことが多いために、発見のために24時間長時間心電図記録が行われます。しかしこの検査の間に不整脈が起こらないことも多く、原因となる不整脈を見つけるのに手間取ることがあります。失神をくり返して起こす時には徐脈性不整脈を疑って、繰り返し検査を受けることが必要です。

脳動脈硬化症

脳血栓が原因で失神発作が起こることはまれであることはすでに説明しました。意識は椎骨・脳底動脈の血流(イラスト3)に関係深いのですが、この部には血栓は起こりにくいものの高齢になるにつれて動脈硬化は起こりやすくなります。椎骨・脳底動脈循環不全症といわれるものですが、症状としてはめまいやふらふら感が主なもので失神発作はあまり起こってきません。

しかし鎖骨下動脈に動脈硬化性の狭窄(血管の一部が細くなっていること)があったり、頸動脈の一部に狭窄があると、急に血流障害を起こして失神発作を起こすことがあります。鎖骨下盗血症候群(イラスト4)と言われますが、つり革を持った時、手を伸ばした時、後を振り向いた時、下を向いた時など一定の姿勢でくり返してフーとする感じが起こる特徴があります。比較的まれな病気ですが、女性にみられる大動脈炎症候群では常に念頭に置く必要があります。

失神のとらえ方

失神の原因を見つけるのは容易ではありません。今までの述べた失神の主な3つの原因について一つ一つ調べる必要があります。失神発作の多くは一度きりであったり、長い間失神をくり返さないものです。このような場合は器質的な原因(病気としての原因)は考えにくく、自律神経反射を介するものと推測されます。

逆にくり返して失神発作が起こる時や、高血圧症、糖尿病、心臓・血管疾患、脳疾患など基礎疾患がある場合、高齢者などでは何らかの原因が推測されます。不整脈などの心疾患、脳動脈硬化症などの脳疾患などを考慮しながら、注意深く検査を進める必要があります。

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