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よく見られる子どもの病気・症状

子どもの下痢

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最近は検査によって下痢の原因が、ウィルス性・細菌性なのか分かるようになってきました。原因によって治療法が異なったり、回復の様子、やってはならないこと、やるべきことなどが明らかになってきました。
 

下痢の分類

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下痢の分類
(イラスト1)

下痢は起こり方から急性下痢と持続性下痢とに区別することができます。(イラスト1)
急性下痢はおもに、1)細菌性下痢、2)ウィルス性下痢 に分けることができます。
持続性下痢は、1)吸収不良症候群、2)反復性軽症下痢、過敏性腸症候群およびその他の軽い下痢、3)腸炎後症候群 に分けることができます。

こうした下痢の分類は原因を考える上で、たいへん役に立ちます。2〜3日前から起こってきた急な下痢は、細菌性下痢(その多くが食中毒)かウィルス性か(多くがかぜによる腸炎で、一部に食中毒が含まれます)の2つを考えればよいでしょう。
しかし長期間続く場合には、乳糖などの吸収不良が原因ではないか、また精神的・環境的原因がないか考える必要があります。

細菌性下痢

細菌性下痢は食中毒として知られています。原因菌として最も多いのがカンピロバクターで、次がサルモネラ菌です。カンピロバクター、サルモネラの感染源は多くは動物で、鶏肉、ぶた肉、生卵(それを含むサラダなど)ばかりでなく、学校で動物の世話をした後の感染など動物から直接感染することもあります。

カンピロバクター腸炎は比較的軽症のことが多く、抗生物質がよく効くため病院を受診しないで、開業医が接することが多い下痢です。6月〜9月の暑い時期には特に多くなりますが、一年を通してみられることがあります。
その他、細菌性下痢の原因としては病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、ブドウ球菌など食中毒の原因として知られる細菌があります。

下痢便が生ぐさい、魚の腐ったにおいがするときや、粘液や膿、血液を便に混じるときには細菌性下痢の疑いがあります。カンピロバクター腸炎でも血便がみられることがしばしばあります。白色といかないまでも、白っぽい便、灰白色の便はウィルス性のことが多いといえます。
医師を訪れるときには下痢便を持参してみてもらうことが診断に役立ちます。赤ちゃんの便は紙おむつをビニール袋に入れて持って行くとよいでしょう。水洗トイレではすぐに流してしまいやすく、便の様子をみることが意外に困難です。

ウィルス性下痢

ウィルス性下痢は「おなかのかぜ」「ウィルス性胃腸炎」としてもよく知られています。子どもの下痢のほとんどがウィルス性下痢です。原因ウィルスのおもなものは、ロタウィルス、アデノウィルス、ノロウィルスなどです。

ウィルス性下痢では吐き気やおう吐が目立つのも特徴です。発熱や腹痛、頭痛やのどの痛みもしばしば起こります。細菌性下痢のような血便がみられることはありません。細菌性下痢に比べて一般には軽く、入院が必要となることは少ない下痢です。

 もっとも多いA群ロタウィルス感染による下痢では、最初におう吐がありついで下痢が起こるようになります。ときにはおう吐や下痢が強いため、短時間の間に脱水症を起こすこともあります。1/3の例では白色または灰白色便がみられます。合併症としては腸重積がありますが、まれにけいれんが起こることがあります。

下痢やおう吐のかぜの時にはのときには腸重積を起こすことがあるので注意が必要です。(詳しくは家庭での医学−子ども−腸重積 をクリックしてください)

吸収不良症候群

吸収不良症候群の中には多くの珍しい病気がありますが、わたしたちが実際にみるのはほとんどがウィルス性胃腸炎に引き続いて起こる二次性乳糖不耐症です。

二次性乳糖不耐症は、ロタウィルス胃腸炎などのあとに腸の粘膜表面が脱落するために、乳糖分解酵素の働きが一時的に下がってくるために起こってきます。二次性乳糖不耐症では乳製品が一時的に消化がしにくくなり、下痢が続くことになります。

急性の下痢に引き続いて、だらだらと下痢が止まらないとき、もっとも多いのがこの二次性乳糖不耐症です。簡単な便の検査でも分かりますが、乳糖を除いた食事やミルクに変えて下痢が良くなることから診断をつけることもできます。人工ミルクを飲んでいた乳幼児では乳糖を含まないミルク(ラクトレス、ノンラクト)を使用し、混合栄養児ではできるだけ無乳糖ミルクにすると下痢が急速によくなってきます。母乳はいろいろな理由からそのまま続けるのが原則です。離乳食は乳製品以外なら積極的に食べさせることができます。多くの二次性乳糖不耐症は軽く1〜2週間くらいで自然に回復します。便は軟便から下痢便で、すっぱいにおいがします。

反復性軽症下痢

反復性軽症下痢とはすぐ下痢をするいわゆる「お腹の弱い子」といえます。おとなでは過敏性腸症候群といわれる腹痛や下痢を起こしやすい体質がありますが、年長児になるとこの過敏性腸症候群ではないかと思われる子どもがみられるようになります。また、腹痛や下痢だけでなく、何となく疲れやすい、朝起きにくいなどの症状もみられることもあり、起立性調節障害を伴っていることもしばしばあります。

このような体質的に下痢をしやすい子ども、疲れやすくお腹が痛くなりやすい子どもの原因は今のところはっきりとはしていません。むしろ厳しい食事制限をするのではなく、のびのびとした生活を暮らせるようにすることが大切と思われます。

慢性反復性腹痛とは

保育園児や学童が数ヶ月から数年間にわたって繰り返して腹痛を訴える場合に「慢性反復性腹痛」といいます。へそ付近にさまざまな強さの腹痛を訴えますが、医師の診察の所見に乏しく、ときに頭痛やおう吐、倦怠感を伴います。静かに寝ていたり排便すると1〜2時間で痛みが消える といった特徴があります。腹痛は朝登校前、食事前後に多いため、親にとっては不登校ではないかと心配されます。

原因は大部分が心因性ですが、まれに腹性てんかんや数%の潜在的な器質的な病気が原因のこともあります。原因としては心因的なことが多いため、まず実際にお腹が痛むことを認めてあげることが必要です。子どもや親の不安感を取り除いてあげることが大切で、単に「異常なし」と説明するのではなく、「多少腹痛があっても何も心配することはない」ことを納得させてあげるようにしましょう。

家庭でできる下痢の治療

1)自然治癒ということ

下痢ことにウィルス性下痢は自然に治るから、「何もしなくても治る」という考えが起こりやすいと思われます。栄養状態が良くなってきた最近では、下痢や脱水症がひどくなる例は減ってきていますが、口からの補液、点滴による補液、食事の注意はやはり大切です。

2)まず補液

子どもでしばしばみられるロタウィルスによるおう吐・下痢症では、はじめの症状はおう吐であり、おう吐が強い場合には脱水症を起こしやすくなります。おう吐を止める薬剤はいろいろありますが、それほど効き目があるわけではなく、補液(水分補給)がもっとも重要です。(イラスト2)
補液の方法として口からの水分補給でよいか、あるいは点滴が必要かは医師の判断によることになります。家庭での口からの水分補給はかなり有効で、吐いても少しずつ根気よく与える必要があります。あまりおう吐が強いときには吐き気を誘発しないようにすることが大切なので、ときには何もしない時間(3〜4時間)も必要になることがあります。

3)食事療法

一般に下痢の食事療法は最初はきちんとやり、早く回復させ、よくなればふだんの食事にもどすのがよいと思われます。最初の食事療法が悪いとだらだらと下痢が続き、その治療は案外むつかしいものです。そうはいってもあまり厳重な食事療法は考えもので、最近は比較的早いうちからふだん食べ慣れている食事にもどすという考え方が一般的です。この場合でも二次性尿糖不耐症は十分に考えておく必要があります。

4)二次性乳糖不耐症の食事療法

下痢のあとにだらだらと下痢が続くときには二次性乳糖不耐症を考えます。乳糖を含む食事を制限しますが、アレルギーではありませんから微量の乳糖は問題ありません。

  1. 牛乳、粉ミルク、ヨーグルトなどの乳製品を禁止します。
  2. かわりに乳糖を含まない次のような食品を食べさせます。
    例:おかゆ、ご飯、うどん、炊いた野菜、おつゆ、魚、とうふ、麺類、肉などの煮物、卵、果物など
  3. 粉ミルクが必要なときには無乳糖粉ミルク(ラクトレス、ノンラクト)を使用する。
    これらのミルクは下痢の後にいつも使う必要はありません。3〜4日をめどにまだ下痢がよくならないときに使うとたいへん効果的です。便がよくなればふつうのミルクに戻します。
  4. 母乳は原則としてそのまま続けるようにします。母乳を中止しなくてもしばらくすると下痢は自然によくなってくることがほとんどです。母乳栄養の子どもは急にミルク類を与えても飲まないことがしばしばです。
  5. おかゆのきらいな子にはやわらかい炊きたてのご飯がよいでしょう。

参考文献:
豊原 清臣ら編:開業医の外来小児科学第3版.南山堂.1997.

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