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女性と心臓・血管の病気

Ⅲ、たこつぼ心筋症

Dr.みやけ

たこつぼ型心筋症とは、1990年に日本で初めて報告された病気です。


急性心筋梗塞に似た胸痛発作で発症し、経過も心筋梗塞とよく似ていますが、

  1. 冠動脈の病変(狭窄や閉塞)を認めないこと、
  2. 左室造影で左室心尖部に無収縮領域が認められ、左室が特徴的な「たこつぼ」の様な形態を示す

という2点で心筋梗塞とは区別される病気です。

高齢女性(男女比1;7、平均年齢60歳代)に多くみられます。発症前に過度の緊張や口論など心因的ストレスや肉体的ストレスを認めることが多く、大震災で増加したという報告があります。原因としては、過度の交感神経緊張の関与、冠動脈の多枝れん縮、微小血管れん縮などが考えられます。

たこつぼ心筋症と表現される心筋障害は一過性で回復することが多く、予後は良好と言われますが、ときに心室内血栓、心破裂などの重篤な合併症を発症することがあります。

*たこつぼ心筋症の詳細は以下のサイトをご覧下さい。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/42/4/42_4_451/_pdf

*更年期症状とは

「更年期症状」として一般的なほてり(冷えのぼせ)・動悸・不安感などは、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモン減少による症状ではなく、女性ホルモンの減少に伴い脳の一部の下垂体から分泌される卵巣刺激ホルモンや黄体刺激ホルモンの増加、ひいてはこれによる視床下部の自律神経のバランスの崩れ(交感神経の緊張状態)が主な原因と考えられます。

それでは女性ホルモン(エストロゲン)減少による症状はどのようなものでしょうか?エストロゲン減少に関係した症状は、骨粗鬆症の進行、コレステロールの上昇、皮膚の衰え(しみ、しわ、たるみ、透明感の低下)が主なものです。これ以外にも、閉経後は女性ホルモンの低下により、徐々に高血圧がみられるようになります。また、コレステロール値の上昇、高血糖、肥満などの危険因子も加わり始め、動脈硬化が進みます。さらに、閉経後10年ぐらいたつと、狭心症、心筋梗塞などの発症率が増えます。

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