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〈予防接種 4〉 ポリオ・・・ポリオ不活化ワクチン平成24年秋開始

※このページは平成24年時点の情報を元に作成しています。最新の情報は予防接種情報(厚生労働省)をご覧ください。

ポリオ不活化ワクチン平成24年秋開始

ポリオワクチンの接種
図1ポリオワクチンの接種

ポリオ(小児まひ)の不活化ワクチンが平成24年4月下旬、厚生労働省の承認を受け、同年の秋から乳幼児への接種が始まる見通しとなりました。これに合わせ、現行の生ワクチンは終了します。
生ワクチンではごくまれにまひを生じる恐れがあり、近年は接種を控える動きが広まっていました。
不活化ワクチンの登場で混乱の終息が期待されますが、過去の生ワクチンの接種歴により不活化の接種回数が変わるため、当面は注意が必要です。

ポリオの不活化ワクチンは、ジフテリア、百日咳、破傷風の3種混合と合わせた4種混合ワクチンと、単独ワクチンの2種類の準備が進んでいました。このうち、サノフィパスツール社(東京)の単独ワクチンが平成24年4月27日に承認され、9月1日の先行導入が決まりました。

自然感染ゼロに

ポリオは口から入ったポリオウィルスが中枢神経を侵してまひを引き起こし、手足に一生続く障害を残すことがあります。
日本では1960年ころに大流行し、多い年には約5600人がかかりました。1964年国が生ワクチンを乳幼児の定期接種に位置づけると、自然感染の患者は激減し、1981年以降は発生ゼロの年が続きました。
しかし、生ワクチンは毒性を弱めたとはいえ、生きたウィルスが原料です。接種が原因で、100万人に1.4人の割合でポリオ患者が発生しました。

摂取率ダウン

厚労省は10年前から、まひを起こさないように化学処理した不活化ワクチンへの切り替えを模索しましたが、開発方針の変更などが影響して導入が遅れました。
その間に、保護者らの生ワクチンの抵抗が拡大し、90%台が当たり前だった接種率は、2011年秋には76%まで落ち込みました。

待ち望まれた不活化ワクチンですが、これまでと何が変わるのでしょうか。現在、接種は生後3ヶ月から7歳6ヶ月未満を対象とし、原則無料ですが、これは今後も変わりません。

生ワクチンで2回だった接種回数は4回に倍増します。生後3~12ヶ月に、20~56日の間隔をあけて3回接種し、4回目は3回目の接種後6ヶ月以上たってから受けます。

ただし、過去に生ワクチンを1回受けていれば不活化1回分とみなし、残りは3回必要です。生ワクチンが2回すんでいれば不活化は不要です。これまでに個人輸入で不活化を接種していた場合は、全部で4回となるように残りの回数を調節します。

皮下に注射

11月には4種混合の導入も予定されています。既存の3種混合の接種歴もからんで対応は複雑にみえますが、厚労省の担当者は、「不活化ポリオを計4回分、3種混合を計4回分、それぞれ完了するように受ければよい」と解説しています。
最終的に必要回数を満たすなら、保護者の希望や医師の判断で11月以降に4種混合を選べます。8月以降に生まれる子は、4種混合の4回接種に統一される予定です。

生ワクチンは口から飲みましたが、不活化ワクチンは上腕に皮下注射します。注射部位については、太ももの外側を勧める専門家もいます。
また、生ワクチンは春と秋に市区町村で集団接種するケースが多かったのですが、不活化は個人で医療機関を受診する方法が基本で、一年中受けられます。乳幼児の予防接種は多くの種類があり、保護者のスケジュール管理がいっそう重要です。

厚労省は、免疫のない子が増えると流行の危険性が高まるため、今春の生ワクチン接種の対象者は、秋の不活化を待たずに接種するように勧めています。

不活化ポリオワクチンのQ&Aは、接種の開始後に掲載の予定です。今までの生ワクチンのQ&Aは終了しました。

《参考文献》
2011
(平成23年)予防接種に関するQ&A集(岡部 信彦、多屋 馨子ら):一般社団法人日本ワクチン産業協会 から転記(一部変更)

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