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はしか(麻疹)の詳しい説明と他の写真

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(写真は下にあります)

麻疹は、今日でも死亡例をみる重要な小児疾患です。大学生や若者の間で麻疹が流行したことは記憶にまだ新しいですが、一方では一般診療の場では麻疹を診る機会がめっきりと少なくなりました。麻疹患者が激減したためか、診断の遅れによる流行の増幅が見られようにもなりました。また、ウイルス抗原の変異も指摘されています。

麻疹の感染のしかた

麻疹ウイルスによる経気道感染、感染症サーペイランスをみても、流行の季節差は減少してきましたが、やはり春先から初夏にかけて多くみられます。また、年末年始や8月盆の民族大移動のあとに流行がみられることがあります。カタル期の患児の待合室混入はなかなか防げませんが、第2〜第3波を防ぐには、γ一グロブリン接種などの早期対策が必要でしょう。麻疹診断時まで同居または濃厚な接触のあった子どもは、感染4日日と診断します。

麻疹の症状

全経過は、潜伏期(10日〜12日間)、カタル期(3〜4日間)、発疹期(4〜5日間)、回復期(3〜4日間)に分かれます。

カタル期

1)コプリック斑

γ−グロブリン接種の修飾麻疹や先天免疫残存乳児の麻疹を除き、出現時間の長短はありますが、全例に認められます。発熱3〜4日目(5日目はまれ)に口腔内頬部粘膜に2〜3mmの円形紅斑で、中に数個の針先大の白点がみられます。ときに口唇粘膜にもみられることがあります。コプリック斑をみれば、2〜4日後の発疹の出現を予測できます。紛らわしい場合でも時間の経過とともに増加するので、他の口内疹とは鑑別できます。また、白血球減少は診断の有力な根拠となります。

2)熱と咳

これらは二大症状です。熱型は二峰性が特徴ですが、解熱剤の使用で修飾されて、熱型がくずれて診断の決め手にならないことが多くあります。咳は乾性・刺激的(マイコプラズマ感染症との鑑別)で、熱と相前後して現われます。同時に結膜充血、眼やに、鼻汁などのカタル症状も認められます。発疹期に入ればこれらの症状はさらに強くなります。

発疹期

麻疹の発疹は、円形2〜3mmの紅斑で、頸部・額面から始まり、躯幹から上下肢に2〜3日で広がって行く順序に注意します。発疹の退色とともに解熱し色素沈着が始まり、1〜2週間で色素沈着も消失します。

生後3〜8ヶ月ころまでの母親からの免疫残存乳児の麻疹では、まず母親がワクチン免疫者かどうかを聞くことは大切です。別な患児との濃厚な接触で乳児に感染することがありますが、この年齢では軽症のコプリック斑はなかなか発見しにくいことがあります。有熱期間は全経過で3〜4日くらいです。突発性発疹との鑑別は、発疹の性状や熱との関係だけでは鑑別が困難なことが多く、抗体検査などで確定診断することが望ましいです。検査不能の場合、麻疹ワクチンの定期接種が望まれます。

麻疹の合併症

麻疹ウイルスは、感染に対する抵抗性を低下させ、細菌感染を容易にします。いずれの時期にも合併症は起こりますが、特に発疹期以降に、また幼いほど起こりやすいです。

1)肺炎:

麻疹ウイルスそのものによる場合と二次細菌感染とがあります。後者の方が重篤な合併症になることが多く、早期発見に努めねばなりません。

2)麻疹脳炎:

発生頻度は1000人に一人位といわれていますが、最近は減少の傾向にあります。麻疹の症状の軽重とは無関係に発疹期の高熱時に引き続いてみられます。

3)劇症麻疹(中毒性麻疹):

きわめてまれに見られます。気管支肺炎に急激に心不全が加わり、重篤な循環障害による虚脱状態と考えられます。発疹は短時間内に急速に消退し(内攻)、蒼白、四肢冷感となり、数時間内に死亡します。カタル期に起こることがあります。また、DIC症候群の病態を呈する出血性麻疹(黒色麻疹black measles)もまれに見られます。

4)中耳炎、クループ症候群、下痢、カンジダ症(口腔、陰部、殿部)、角膜軟化症、難聴、結核の悪化などがあります。

各時期の合併症の早期発見

カタル期

ハイリスクを持った小児(ステロイドならびに免疫抑制剤投与児、チアノーゼのある先天性心疾患児、重症けいれん児など)や、重症の重複感染に陥った小児(乳児百日咳の痙咳期など)は入院させて十分観察すべきです。

発疹期

一般にぐったりしており、一見重症感があります。重篤な合併症の発生が少しでも予想される場合は頻回の診察をするか、または電話などで症状の報告を受け、慎重に経過を観察します。呼吸困難や経口摂取不能が続く場合は、入院加療の必要があります。この時期にけいれん発作があれば良性とは考えにくいです。

回復期

色素沈着と発熱との関係を重視します。色素沈着が認められるのにまだ高熱が続いたり、いったん解熱したものが再び発熱する場合は細菌二次感染を考えます。また各時期を通じて、白血球数や好中球の増加は合併症を示唆します。

麻疹の治療

基本的には対症療法ですが、呼吸器系の二次感染の完全防止は難しく、むしろ軽症で経過するような予防療法が大切です。

1)解熱剤:

他の熱性疾患と同じように使用してかまいません。しかし無理に解熱させようとしないよう家族に理解させることが望ましいです。

2)抗生剤:

有熱期間中は使用することにより、明らかに呼吸器感染の合併症発生を低率にします。細菌二次感染としては、肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌およびインフルエンザ菌が多いので、これを参考に適切に選びます。一方、解熱剤を初期より大量または強力に使用すると、ときに発疹の出現を遷延させることがあります。麻疹本来の姿を強引にゆがめない方が賢明です。

3)一般対症療法:

鎮咳剤はカタル期に用い、発疹期には去疾剤を使うといわれていますが目立った効果は期待できません。水枕、氷枕の使用、わきの下の冷却、冷暖房など患者が気持ちがよいようにしておきます。嫌がることを無理にしない、特に暖める必要はありません。

4)麻疹と迷信:

日本では昔から麻疹を冷やすと内攻すると恐れられてきました。暖めなければいけないと根強く信じている人びとがいて、患児が疲れるほど暖めたり、解熱剤の使用を拒否したりすることがあります。特に老人のいる家庭はこのような傾向が強いので、涼しく快適に看護するよう指導しなければなりません。

5)輸液:

理学的所見に乏しく、諸検査に異常はないが、高熱が持続し一般状態の回復が遅い時は、輸液のみで好転することが多いので試みるべきでしょう。

麻疹の予防

γ−グロブリン

筋注用γ−グロブリンの感染予防効果の持続期間は3〜4週です。静注用γ−グロブリン半減期は2週間前後といわれています。

1)γ−グロブリン(筋注用)の効果:

γ−グロブリンは感染後4〜6日までに使用すると、発病防止ないし軽症化に有効です。潜伏期後半の使用については、理論的には無効とされていますが、一般状態が比較的良好に経過するという開業小児科医の報告ならびに意見が多いです。

2)γ−グロブリンの使用量:

(1)症状軽減量:5mg/kg〜50mg/kgと幅広く用いられていますが、麻疹ワクチン研究会(昭37〜39年)における生ワクチンとの併用試験成績からすると、5〜20mg/kg(10mg前後)の1回筋注で十分の効果を得ています。(2)完全予防量として、ハイリスクの小児にのみ50mg/kg前後使用します。

γ−グロブリンの使用例の修飾麻疹(modified measles)の症状

1)潜伏期間:

γ−グロブリン使用の時期および量により異なりますが、一般に延長します。カタル期が省略された感じで発熱と同時に発疹が現われることがあります。

2)コプリック斑:

発見できないことが多いですが、短時間現われることがあります。

3)不顕性感染:

全く症状が現われず、抗体上昇が認められる症例です。感染4〜6日までの使用例では、γ−グロブリン量30mg/kgで6%、50mg/kgで14%に認められています。

麻疹ワクチン接種児の修飾麻疹

麻疹ワクチンを接種した小児が自然麻疹に罹患することが報告されています。ワクチンにより抗体を獲得しなかった非陽転児は当然、自然麻疹と同様な症状を示します。しかし、抗体があるのに発疹を伴う麻疹に罹患することがあります。このようなケースでは、抗体検査をして確定診断をすることが望ましいです。検査成績は、二次応答を示します。つまり、早期よりIgG抗体が上昇します。なぜ抗体があるのに麻疹ウイルスに侵襲され発病するのかは不明です。発熱、発疹は非定型的で一定の傾向はありません。風疹様であったり、突発性発疹様、じんま疹様であることがあります。コプリック斑は認められないのが多いです。

流行時における症状軽減のための麻疹ワクチン接種

感染後のきわめて初期に、ワクチンの干渉現象を利用して症状の軽減を試みる方法です。γ−グロブリン接種ほどの効果は期待できません。

麻疹ワクチン接種の勧め

はしかは、「子どもの生死にかかわる試練」と言えば大げさになりますが、一度罹患すれば基本的には二度と罹患しない病気です。乳幼児にとっては重い病気で、ミゼラブル(miserable悲惨な)です(麻疹のMeaslesと語源は同じらしい)。

終生免疫がどのようなメカニズムで得られるのかは、まだはっきりわかっていません。しかし、不顕性感染の繰り返しによって終生持続する免疫が得られるのではないかと考えられています。将来、麻疹の流行が少なくなって、不顕性再感染の機会がなくなった時には、免疫が低下して顕性感染の可能性はあるかもしれません。その場合は、ワクチンを再接種すればよく、その時強い副作用などで重症になるようなことはないと考えられます。

いつかは渡らねばならない川なら、少しでも浅く、おだやかに短い瀬にめぐりあいたいと願うのは、親の気持ちではないでしょうか。今のところ、ワクチンが麻疹からの罹患を守る有力な方法であり、よく理解して接種し、この病気を何とか乗り越え、大きなミゼラブルやトラブルへ発展しないように努めるべきでしょう。

麻疹の写真

はしか(麻疹)-(写真2)発病後3〜4日
発病後3〜4日

はしか(麻疹)-(写真3)発病後5〜7日(最盛期)
発病後5〜7日(最盛期)

はしか(麻疹)-(写真4)発病後5〜7日(最盛期)
発病後5〜7日(最盛期)

はしか(麻疹)-(写真5)発病後5〜7日(最盛期)
発病後5〜7日(最盛期)

はしか(麻疹)-(写真6)発病後8日〜10日(回復期)
発病後8日〜10日(回復期)

その他の写真はこちら、
写真で見る「子どもの病気」:はしか(麻疹)

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