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学童と大人のための食物アレルギーQandA

2.緊急時の対応 Q1

質問Q1:食物アレルギーを起こしたときの、症状に応じた対処方法を教えてください。

答えA1:アレルギーの原因となる食物を誤って食べたかどうかは、はっきりと確認できない場合もあります。しかし、疑わしい症状がみられたときには早めに処置を行うことが大切です。

症状を確認し、あわせて緊急時のマニュアルをチェックしましょう。緊急時に備えてマニュアルを用意しておくことは大切です。あわてると正しい判断や処置を施せなくなります。

息苦しさやくり返すおう吐、ショック症状が見られる場合は、ただちに医療機関を受診します。必要ならすぐに救急車を呼ぶ手配をします。

じんま疹などの皮膚症状は、アレルギーと気がつくのは比較的簡単です。しかし、症状は咳や腹痛で始まることもあります。それをアレルギー症状と気がつくのが大切です。

園児や学童では周囲の人が気づくことが特に重要ですが、本人にも常からこういう症状が起こればすぐに家族や先生に申し出るようにと、説明しておくことも役立ちます。

緊急時の対応フローチャート
図1緊急時の対応フローチャート(独立行政法人 環境再生保全機構:ぜん息予防のためのよく分かる食物アレルギーの基礎知識 より)

食物アレルギーを起こしたことがある人は、主治医と相談して緊急時の薬をいつも持参しておくことが勧められます。
内服薬としては、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤が役立ちます。気管支喘息の発作が起こる場合には、これらの薬の他に気管支拡張薬を内服したり、吸入したりします。アナフィラキシーの予防にエピペン注射を所持している場合もあります。

対応フローチャートにあるアレルギーの症状の判断には、ある程度の医学的な判断が必要な場合もあり、必ずしも簡単ではないかもしれません。しかし、対応が遅れると生命の危険に及びかねないことを理解しておく必要があります。また、学校や保育園などの施設では対応が適切に行われないと、後から責任問題に発展しかねないことをよく知っておく必要があります。

緊急時対応の要点

  1. 少しでもアレルギーが疑わしい症状(発疹やじんま疹、のどや口の中の違和感)が起こったときには、薬を持参しておればただちに内服させて、保護者に連絡する
  2. 薬を持参していないときには、保護者に連絡して医療機関を受診する、保護者に連絡が取れないときには、校医に連絡する、または医療機関を受診する(学校関係者の同伴のもとに)
  3. 息苦しさを訴えたり、おう吐をくり返す場合には、エピペンを持参していればただちに注射する。それで症状がよくなった場合でも、遅れて起こるかもしれないアレルギーを予防するために必ず病院に行く。エピペンを持参していない場合にはただちに病院に行くか、場合によっては救急車で病院に行く

あるエピペン講習会で、アナフィラキシーが起こったときに現場でできる応急処置があるかどうか、質問を受けたことがあります。

食物アレルギーによって起こる喉頭の閉塞や気管支喘息に対しては、現場でできる有効な応急処置はエピペン注射を除いてはありません。
気道が閉塞するわけですから、人工呼吸や心マッサージはそれほど役には立ちません。人工呼吸を試みても気道閉塞のために、空気が肺にまで達しない可能性が大です。心停止を起こしていないときに、心マッサージはとくに必要ないでしょう。

アナフィラキシーショックでは、急激な血圧低下とそれに伴う循環障害が起こるため、顔面は蒼白になり、冷や汗を伴い意識レベルが低下していきます。
引き続いて起こるかもしれない心停止や呼吸停止に対して、人工呼吸や心マッサージは有効かもしれませんが、救急車を手配してすぐに病院に行くことが大切です。
もちろんエピペンがあればただちに注射するのは重要です。その場合でも、一刻も早く病院に運ぶ必要があります。

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学童と大人のための食物アレルギー

1.食物アレルギーについて

2.緊急時の対応

  1. 食物アレルギーを起こしたときの、症状に応じた対処方法を教えてください。
  2. エピペンについて教えてください。
  3. エピペンを誤って注射したとき、副作用など怖くありませんか?
  4. エピペンは皮膚を消毒しないで注射しても大丈夫ですか?
  5. じんま疹や口の違和感(OAS)などの、比較的軽いアレルギー症状の時に使う、内服薬を教えてください。
  6. 食物アレルギーがある子どもの外食時の注意について教えてください。
  7. キャンプ場、ボーイスカウトで野外料理のときの注意について教えてください。

3.食物アレルギーの診断と検査

4.食物アレルギーの特徴


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