Q6:食物アレルギーの小児に使ってはいけない薬について教えてください。
A6:食物アレルギーの子どもが注意しなければいけない薬は意外に多くあります。卵、牛乳、ゼラチンなどの成分を含む薬を飲んでアレルギー反応を起こすことがあり、重篤な場合にはアナフィラキシーを起こすこともあります。
薬には市販薬と医師から処方される医薬品があります。医薬品に関しては医師が十分に注意しながら処方する必要がありますが、市販薬に関しては患者自身が注意して服用する必要があります。
卵白から生成される塩化リゾチームは、鼻炎やかぜなどの炎症を抑える目的でしばしば処方されます。塩化リゾチームは市販のかぜ薬などにもよく含まれています。すべての子どもでアレルギーが起こるわけではありませんが、卵白アレルギーがある場合には避ける方がよいでしょう。
インフルエンザワクチンには微量ながら卵成分が含まれています。重症の卵アレルギーの子どもは、主治医とよく相談しながら接種する方がよいでしょう。
牛乳に含まれるカゼインは抗原性の強い医薬品添加物に指定されていますが、さまざまな形で医薬品に含まれていることがあります。カゼインを含む薬としては、げり止めとしてよく使われる商品名タンナルビンがよく知られています。乳酸菌製剤の一部では製造過程で使われるカゼインが問題となります。牛乳アレルギーがある子どもでは注意が必要になります。
乳糖については精製度が高ければ抗原性はほとんど問題ないとされていますが、医薬品の一部の薬や漢方薬エキス顆粒の大半にも乳糖が使用されているため、重症の牛乳アレルギーの子どもは注意が必要です。
ゼラチンは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したもので、タンパク質を主成分とします。ゼラチンは薬のコーティングの目的で使用されます。内服用カプセルはゼラチンを主成分にしており、ゼラチンアレルギーの子どもは注意が必要です。とくに座薬に用いられる場合は、腸管粘膜からの吸収がよいため、強いアレルギー反応を起こす可能性があります。
参考文献:
1)「保護者と学校の先生に伝えたい食物アレルギーの基礎知識」、監修小林陽之助、編修兵庫食物アレルギー研究会、診断と治療社
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