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いろいろある鎮痛薬

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現在、鎮痛薬として利用されているものは、1非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、2神経障害性疼痛治療薬、3抗うつ薬、4オピオイド鎮痛薬 です。

長引く痛みに使われる主な鎮痛薬鎮痛薬
1
非ステロイド性抗炎症薬
(NSAIDs)
消炎鎮痛薬とも呼ばれ、炎症や腫れの原因物質を抑える
2
神経障害性疼痛治療薬
痛みの神経伝達を抑える作用
3
抗うつ薬
神経が傷つくことで生じる痛みに使われる
4
オピオイド鎮痛薬
痛みが伝わるのを妨げる麻薬の成分を含む強い薬も

 

1非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

アスピリン、ロキソニン®、ボルタレン®と呼ばれる鎮痛薬は解熱作用も有しているため、解熱鎮痛薬とも呼ばれ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に含まれます。一方、カロナール®などのアセトアミノフェン製剤も広く使われますが、NSAIDsに分類されない解熱鎮痛薬です。カロナール®は、NSAIDsと比べると一般的に鎮痛作用は軽めですが、解熱薬としてインフルエンザの時にも比較的安全に使用でき、また子どもや妊婦にも使えるのが特徴です。一般に胃腸障害が問題になりやすい薬です。

痛みは、侵害受容性疼痛神経障害性疼痛の2種類に区別することができます。

侵害受容性疼痛

痛みを感じる侵害受容器が刺激されて起こる急性の痛みです。切り傷、打撲、やけど、腹痛など私たちが日常生活でよく経験する痛みの主な原因です。

神経障害性疼痛

痛みを伝える神経が傷ついたり、変性したために起こる慢性の痛みです。しびれるような痛み、やけつくような痛み、ピリピリとかジリジリするといった不快な痛みを感じます。また軽く触れただけで激しい痛みを感じることもあります。初期に痛みの治療が適切に行われないと、このような痛みが脳に記憶されてしまいます。

疼痛治療においては、痛みが生じるメカニズムの違いに注意して薬剤選択を行う必要があります。NSAIDsは侵害受容性疼痛には効果が示しますが、神経障害性疼痛にはほとんど効果がみられません。

2神経障害性疼痛の治療薬

神経障害性疼痛には抗うつ薬やプレカバリン(リリカ®)、下行性疼痛抑制系賦活薬であるノイロトロピン®などが有効とされます。また、痛みを伴う糖尿病性神経障害に対して、中等症以上では三環系抗うつ薬、プレカバリン(リリカ®)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン取込み阻害薬)などが第一選択薬として推奨されています。三叉神経痛には、カルバマゼピン(テグレトール®)を第一選択薬として使用しますが、薬疹に注意します。

プレカバリン(リリカ®

プレカバリン(リリカ®)は、過剰に興奮した神経から発信される痛みの信号を抑え、痛みをやわらげるお薬です。神経障害性疼痛に有効で整形外科ではとくに広く使用されていますが、眠気やめまいに注意します。

3抗うつ薬(三環系抗うつ薬、SNRI)

抗うつ薬として、三環系抗うつ薬や、セロトニンノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)などが神経障害性疼痛をはじめとする慢性疼痛に有効であることが知られています。

中枢神経系における神経伝達物質のノルアドレナリン、セロトニン再取り込みを阻害し、下行性疼痛抑制系の活性化によって鎮痛作用を発揮します。三環系抗うつ薬ではこのほかナトリウムチャネル遮断作用、カルシウムチャネル遮断作用などもあり、末梢レベルでも神経障害性疼痛を抑制します。

神経障害性疼痛、慢性腰痛、線維筋痛症など難治性と考えられる幅広い痛みに対して有効性が期待できます。痛みの表現では、“持続的で焼けるような” “締め付けられるような” “びりびりする、電気が走る”といった痛みに有効です。

4オピオイド鎮痛薬

長引く膝や腰の痛みを放置すると、それによって神経が興奮し、いっそう痛みが増して治りにくくなる悪循環に陥やすくなります。強い痛みでうつ状態になったり、寝たきりになったりする恐れがあるため、そうならないように早期に適切な治療が望まれます。一般的に使われる鎮痛薬には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)などがあります。これらが効かない場合にオピオイド鎮痛薬の適応となります。使用に際しては、痛みの原因を取り除いたり軽減したりする治療スケジュールをきちんと立てることが重要です。

オピオイド鎮痛薬は主に進行ガンの痛みを取るために使われてきましたが、ここ数年、ガン以外の病気・けがによる強い痛みへの保険適応が相次ぎました。中枢神経系に作用して強い痛みも取れる一方、便秘や吐き気、眠気、呼吸抑制などの副作用や依存症になるケースも報告されています。このため日本ペインクリニック学会ではガイドラインを作成し、高用量・長期の使用を避けるように呼びかけています。

強いオピオイドが日常的に処方されている米国では、長期・過剰使用による事故が相次ぎ、交通事故より多い一日40人が亡くなっているとするデータもあります。過剰な処方はあってはなりませんが、患者の生活の質を向上させる選択肢として適切に使うべきでしょう。

神経障害性疼痛薬物療法

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