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町医者の診療メモ Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

関節痛・筋肉痛と内科の病気と診断

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関節痛・筋肉痛の多くは整形外科と関係した病気ですが、内科の病気と関係したものも少なくありません。
 

痛風や関節リウマチ、大人の伝染性紅斑(リンゴ病とも呼ばれパルボウィルスB19感染が原因)などは診療所でも診断する機会は多いのですが、その他の病気は一般の内科では診断が難しいと考えられる病気ばかりです。最近では、「総合内科」や「膠原病・リウマチ科」と呼ばれる診療科が、これらの病気の最終的な診断をすることが多くなりました。

一方では、慢性疲労症候群(CFSと略されますが、SEIDという呼び名が提案されています)、線維筋痛症、子宮頸がんワクチン接種後の身体の痛みや歩行障害 など原因や診断に苦慮する場合も少なくありません。

このサイトではおもに関節痛・筋肉痛の部位と年齢・性別に焦点を絞り、どのような内科的な病気が考えられるか? について整理を試みました。さらに診断補助として血液検査について言及したいと思います。

注意:ここでは内科的な病気に限り述べています。整形外科的な病気は専門外になるだけでなく、膨大な量になるため言及していません。ご了解をお願いします。

関節痛の部位から病気をさがす

多くの病気では関節痛の起こる部位に特徴があります。
関節痛の部位をクリックすると、考えられる病気へ進みます。さらに病気によって好発する年齢と性別があります。年齢に相当する病名をクリックすると、やや詳しい説明にリンクします。

痛みの部位から病気を探す 肘が痛む手指が痛む胸が痛む 肘が痛む 足首が痛む 足首が痛む 胸の関節が痛む 足指が痛む 膝が痛む 足指が痛む 膝が痛む 肩が痛む 肩が痛む 首が痛む 手首が痛む 手指が痛む 手首が痛む

痛みの部位から病気を探す 背中が痛む首の後ろが痛む アキレス腱・踵が痛む 腰が痛む アキレス腱・踵が痛む

注意:ここでは内科的な病気に限り述べています。整形外科的な病気は専門外になるだけでなく、膨大な量になるため言及していません。ご了解をお願いします。 (※無断複写・転載はお断りします。)

不定の関節痛、筋力低下や脱力発作

関節所見や検査所見に特徴があると診断の大きな手がりになります。しかし、いつもそうとは限りません。関節痛や筋肉痛はあっても、痛みの部位が一定しない場合も少なくありません。このような場合には、次の三つのグループに分けて考えると便利です。

T、関節痛の部位が一定せず、血液検査でも特徴的な所見がないもの

  • リンゴ病(伝染性紅斑、パルボウィルスB19感染)
    (しばしば20-30歳代の小さな子どものいる女性に起こります。詳しくは本HP内で述べています。大人のりんご病 − http://www.miyake-naika.or.jp/03_katei/otona_ringobyo.html
  • 線維筋痛症
  • 慢性疲労症候群(CFSまたはSEID)
  • ボルムヘルム病
  • リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
  • パーキンソン病
  • 傍腫瘍症候群
  • 悪性リンパ腫

などが考えられます。

U、関節痛の部位が一定しないが、血液検査で特徴的な所見があるもの

  • 骨軟化症(Ca、Pなど)
  • 副腎皮質機能低下症(ACTH、コルチゾール)
  • 橋本病(TSH、FT4など)
  • 膠原病(抗核抗体など)
  • 白血病(白血球や血小板など)
  • 骨髄腫(血清タンパク、尿タンパクなど)
  • 好酸球増多症候群(好酸球数など)
  • 血管炎症候群(CRP、血沈、尿素窒素、血清クレアチニン、尿タンパクなど)

などが考えられます。

V、関節痛はなく、筋力低下や脱力発作があるもの

  • 低カリウム性ミオパチー
  • ギラン・バレ症候群
  • 重症筋無力症
  • 周期性四肢麻痺
  • 情動脱力発作を伴うナルコレプシー
  • 橋本病
  • てんかん発作
  • 脳梗塞や筋萎縮性側索硬化症などの脳神経疾患
  • 低血糖発作
  • 副甲状腺機能亢進症
  • 後縦じん帯骨化症

などを挙げることができます。

関節痛のアプローチ

関節痛のアプローチとしては、 1)関節痛だけなのか? 関節炎があるのか?  について判断します。次に関節炎がある場合には、 2)急性か? 慢性か?  3)単関節炎か? 多関節炎か? を区別します。

1)関節痛だけなのか?関節炎があるのか?

  関節炎なし 関節炎あり
病 歴 動かすと痛い
安静で改善
あさが最も痛い
朝のこわばり>30分
動かしていると改善する
身体所見 関節腫脹・発赤・圧痛なし 関節腫脹・発赤・圧痛あり
(表 関節炎の有無)

2)急性か?慢性か?

  単関節炎 多関節炎
急 性
(2週間以内)
化膿性関節炎
痛風・偽痛風
外傷(関節内血腫、骨折)
骨隨炎
関節リウマチ
脊椎関節症
その他の膠原病・血管炎
心内膜炎
淋菌性関節炎
パルボウイルスB19感染症・肝炎・風疹
リウマチ熱
血清病
白血病
慢 性
(1ヵ月以上)
結核性関節炎
変形性関節症
腫瘍
無菌性骨壊死
機械的損傷
関節リウマチ
脊椎関節症
その他膠原病・血管炎
変形性関節症
慢性痛風性関節炎
肥大性骨関節症
(表 発症形式と関節炎)

3)単関節炎か? 多関節炎か?

関節炎の分布 鑑別疾患
対称性の手の小関節(PIP、MCP関節)と腕 関節リウマチ
手の小関節(PIP、DIP関節) 乾癬性関節炎、変形性関節症
非対称性の下肢
付着部炎を伴う
脊椎関節症
脊椎、仙腸関節 脊椎関節症
肩、頸部、腰 リウマチ性多発筋痛症(50歳以上)

(表 関節炎の分布)
(MCP、PIP、DIP関節とは)
(イラスト MCP、PIP、DIP関節とは)

関節炎の5つのグループ

関節炎の原因には多数ありますが、大きく5つのグループに分けて考えることができます。

関節炎の鑑別
1 感染性関節炎 : 細菌性、ウイルス性、真菌性など
2 結晶誘発性関節炎 : 痛風、偽痛風など
3 関節リウマチとその類縁疾患
4 膠原病とその類縁疾患
5 血清反応陰性骨関節症とその類縁疾患

関節痛や筋肉痛を訴える場合、診断に至るには問診や身体所見さらに血液検査を加えた系統的な考え方が重要です。考える病気によって血液検査項目は異なりますが、予備検査のときに検査項目を慎重に選ぶことが大切です。

関節痛や筋肉痛を訴える場合、関節所見や検査所見からみた診断の流れです。

関節痛・筋肉痛診断のための検査の進め方(図 関節痛・筋肉痛診断のための検査の進め方)

基本検査 内容 目的・考えられる病気
炎症マーカー CRP、赤沈 炎症の程度を調べる
末梢血液一般 白血球、赤血球
血色素量、血小板
白血球像など
白血球減少(特にリンパ球)
血小板減少では膠原病(SLE)
好酸球増加では好酸球増多症候群など
生化学 総蛋白、尿素窒素、クレアチニン
尿酸、AST、ALT、LAP、γ-GTP
総コレステロール、中性脂肪 など
全身の臓器障害の程度を調べる
高尿酸血症では痛風を示唆
蛋白分画 γ-グロブリンの増加?
尿検査 尿一般・尿沈渣 蛋白尿は腎障害、多発性骨髄腫など
甲状腺 TSH、FT4 バセドウ病や橋本病?
膠原病関連 抗核抗体、リウマチ因子 膠原病の予備検査として有用
その他 フェリチン、Ca、P フェリチン増加は成人スティル病や悪性リンパ腫など
Ca、Pは骨軟化症や副甲状腺機能異常など

(表 基本検査)

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関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋膜炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患

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