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町医者の診療メモ:関節痛・筋肉痛と内科の病気 Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

C.おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み

6回帰性リウマチ

回帰性リウマチは、正確な人口当たりの頻度を示した報告はなく比較的まれな疾患であると考えられてきましたが、最近の報告では、以前に考えられていたよりも数が多いとするものもあります。回帰性リウマチの好発年齢は20歳代から50歳代まで広く含み、男女差はありません。
原因はいまだ不明ですが、回帰性リウマチの患者さんの一部では家族内発症が認められており、一部には遺伝子の関与も示唆されています。

回帰性リウマチで生じる痛みの部位
回帰性リウマチで生じる痛みの部位(※赤丸は主な関節痛の部位)

回帰性リウマチは移動性関節炎を来す疾患です。1回の発作期間は数時間から数日と短く、間欠期は数日から数ヶ月と幅があります。各発作では手関節(PIP、MP)を始め、手・肩・膝・足関節などに単関節炎(一つの関節に炎症が起こる)を認めることが多いです。関節リウマチが対称性に起こる多発関節炎であるのと大きな違いです。

発作は突然発症し、通常は単関節炎の症状が出現します。経過とともに多数の関節に発作が認められる例では、同一の関節で繰り返されるというよりは症状が出現する関節は移動することが多いとされています。

約半数は関節リウマチに関係した抗CCP抗体やRFが陽性ですが、関節リウマチと異なり男女差はなく、関節痛の続く期間が短いために関節破壊を生じません。非ステロイド鎮痛薬による対症的治療が行われます。一部の患者は自然寛解しますが、長年発作を繰り返す症例もあり、また約半数は後に関節リウマチに進展します。

参考:
1)日本医事新報 No4695.2014.4.19
2) http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000727.html

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町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

めまい:脳からみためまいを中心に

関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患


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