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町医者の診療メモ:関節痛・筋肉痛と内科の病気 Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

D.不定部位に起こる関節痛や筋肉痛

Dr.みやけ

上下肢の特定の関節に限らず、広い範囲の関節や筋肉に痛みを生じることがあります。内科診療所の外来では、これらの疾患が原因で起こる関節痛や筋肉痛の中で、とくに1から4の疾患はしばしば遭遇します。

4低カリウム性ミオパチー

低カリウム血症の原因はさまざまですが、下痢や嘔吐などで消化管から消化液とともにカリウムが失われてしまう場合や、利尿薬や副腎皮質の病気(アルドステロン症やクッシング症候群など)により腎臓から尿中にカリウムが失われてしまう場合などがあります。
漢方薬に含まれる甘草(かんぞう)の成分が腎臓で副腎皮質ホルモンの作用を増強して、尿中に大量のカリウムが失われることもあります。

カリウムの低下で障害を受けやすいのは、筋肉(骨格筋や心筋)、消化管、腎臓です。筋肉に関連した症状としては、手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばりがみられ、これらに加えて力が抜ける感じ、こむら返り、筋肉痛が現れてだんだんきつくなります。 

低カリウム血症を起こす原因はさまざまですが、日常の診療で多い原因は原発性アルドステロン症と呼ばれる病気や薬剤によるものです。
原因となる主な薬剤としては、1.カンゾウを含む漢方製剤(芍薬甘草湯、甘麦大棗湯、小柴胡湯など)、2.肝臓疾患・アレルギー用剤(グリチルリチン含有製剤)、3.副腎皮質ホルモン剤(ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン)などです。とくにカンゾウを含む漢方薬の一つ「芍薬甘草湯」は「こむら返り」の治療薬として頻繁に使用されるため、長期の内服の際には注意が必要です。

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町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

めまい:脳からみためまいを中心に

関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患


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