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町医者の診療メモ:関節痛・筋肉痛と内科の病気 Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

B、おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み

7化膿性関節炎

化膿性関節炎は、関節に細菌が入り込んで感染し、炎症を起こす病気です。

関節に炎症が起こると、その部位が激しく痛み、表面の皮膚が赤くはれあがって熱を持ちます。そのほか、全身に現れる症状として、悪寒や倦怠感、食欲の低下などがあります。

体中のあらゆる関節に起こる可能性がありますが、膝関節での発症が最も多いようで、ほかに股関節、肩関節、足関節でも発症します。

化膿性関節炎で生じる痛みの部位(※赤丸は主な関節痛の部位)
化膿性関節炎で生じる痛みの部位(※赤丸は主な関節痛の部位)

細菌が関節内に侵入する経路には、以下の4つのパターンが考えられます。

  1. 他の部位で起こった炎症から、血液を介して関節に感染
  2. 深部にまで達するような深い傷口から侵入した細菌に感染
  3. 敗血症、扁桃炎、膀胱炎など、他の病気の発症に関連する細菌に感染
  4. 細菌が付着した注射器による注射で感染

原因となる菌は、黄色ブドウ球菌が最も多く、連鎖球菌、肺炎球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが多いと報告されています。年齢的には、抵抗力・免疫力の低い幼児や高齢者に多く見られます。また糖尿病、血液透析、薬物の常用(副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤など)などで治療中の人は、感染に対する抵抗力が落ちているため、化膿性関節炎にかかりやすく、また治りにくくなる傾向があります。

関節の痛み、はれ、熱感、発赤などとともに発熱、悪寒、食欲不振、全身倦怠などの全身症状がみられることもあります。小児の股関節の場合は、深いところにあり関節の状態がわかりにいので、強い痛みのためほとんど関節を動かさない、オムツ交換時にひどく泣く、といった症状が診断の手がかりとなります。

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町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

めまい:脳からみためまいを中心に

関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患


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