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町医者の診療メモ:関節痛・筋肉痛と内科の病気 Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

A、首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み

10石灰沈着性頸長筋腱炎

石灰沈着性頸長筋腱炎は頸長筋膜へのカルシウム塩(ハイドロキシアパタイト)の沈着によって起こる結晶誘発性の急性炎症です。

好発年齢は20~50歳で、急性の後頸部痛、頸部運動制限、嚥下痛などで発症します。血液炎症所見の陽性化を認め、嚥下痛や嚥下困難を伴うことから、咽後膿瘍や化膿性脊椎炎などとの鑑別が大切です。
発症前に上気道感染や頭頸部の軽微な外傷がみられることがあります。後頸部痛、頸部運動制限(とくに回旋)、嚥下困難を主徴とし、発熱も認めます。血液検査で白血球上昇、炎症反応上昇を認めます。予後は良好で、頸部固定による局所の安静、消炎鎮痛薬の内服で1~2週間で改善します。

X線写真、4頸部単純CTで第1~2頸椎前面の頸長筋腱付着部に石灰化、第1~4(時に第6)頸椎前面の軟部組織(後咽頭腔)に腫脹、浮腫性変化による低吸収域を認めます(造影効果はありません)。好発年齢は20~50歳とされますが、高齢者でもみられます。

石灰沈着性頸長筋腱炎で生じる痛みの部位
石灰沈着性頸長筋腱炎で生じる痛みの部位

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町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

めまい:脳からみためまいを中心に

関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患


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