■新型インフル情報 ( 2009/06/26発行 )
■新型インフル 今秋・冬の第2波警戒
世界的な大流行、パンデミックが宣言された新型インフル。
日本を含む世界の関心は、今秋以降の再流行に移りつつあります。
約50年前に新型として流行した「アジアかぜ」では夏の「第1波」に比べ、秋・冬の
「第2波」の志望者数が3.3倍に上っていたことが分かるなど、気は抜けません。
しかし、専門家は「医療体制が整っている日本では、心配する必要はない」と呼びかけています。
20世紀以降に発生した過去3回のパンデミックのうち「スペインかぜ」(1918年)と「アジアかぜ」(57年)は最初の流行後、間隔をあけて第2の流行が起きています。いずれも第2波の方が、重症化するケースが多かったといわれます。
今回の新型で第2波が想定されるケースとして、
(1)国内に残留している新型ウイルスが再度、拡大する
(2)冬に入る南半球でウイルスが変異し、国内に持ち込まれる
-ことなどが挙げられます。
厚労省も第2波でウイルスが変異して毒性が高まる可能性があることを警戒。WHO(世界保健機関)などと連携して、他国の発生状況を注視しています。
「アジアかぜ」について、厚労省の研究班が分析したところ、夏の第1波に比べ、秋・冬の第2波の死亡者数が3・3倍に上っていたことが分かりました。
アジアかぜの国内の第1波は57年5~8月にかけて流行。9月に一度収まり、季節性の流行期と重なる同年10月~翌年2月に第2の流行が広がりました。
第2波で第1波より死亡者数が増えた理由について、「インフルエンザウイルスは空気中の湿度が低い冬に広がりやすい。乾燥する冬場は呼吸器によくないので二次感染を起こすなど重症化しやすかったのではないか」と専門家は指摘しています。
加えて、当時は
(1)新型インフルエンザの知識や医療体制が現在ほど充実していなかった
(2)抗ウイルス薬がなかった
(3)集団生活が多かった
-ことなども感染拡大に影響したとみられます。
今秋は季節性と新型が共存する可能性が高く、季節性のAソ連型とA香港型は詳細(PCR)検査をしなければ新型と区別できず、多くの患者が医療機関に押し寄せれば、検査が追いつかない状況も考えられます。
専門家は「今秋・冬の新型の流行を抑えることは難しいが、医療体制が整っていれば怖がる必要はない」とした上で、「感染しても重症化させないことが重要。国は早期診断、治療が可能な医療体制を整備すべきだ」と指摘しています。