■新型インフル情報 (2009/11/10発行)
■医師の上手なかかり方
先日、姫路市の急病センターに当番で出かけてきました。
幸い、夜間はそれほど忙しくありませんでしたが、翌日の土曜日と日曜日はたいへんだったそうです。
今回は医師の上手なかかり方についてお話しします。
急病センターでの小さなできごと。
電話の問い合わせで「子どもが高熱で、検査が・・・」、
職員が「熱が出てすぐには検査ができないのですが・・・」、
電話口でどなられる「うちの子が、どうなってもいいんか!」
子どもを思う親の気持ちが伝わってきますね。しかし、職員の説明通りですし、困りましたね。
10月26日、国立感染症研究所は、国内の新型インフルによる脳症患者は季節性よりも年齢層が高い7歳前後が中心で、ほとんどが発熱から2日後までの早期に発症し、発熱の2日後までにタミフル、リレンザを投与することにより8割は回復したとする調査結果を発表しました。
インフル脳症は、脳のむくみ(脳浮腫といいます)が原因で起こります。
脳浮腫では、早いと10~30分でみるみる脳がはれあがってきます。
脳がはれてくると、逃げ場を求めて脳が延髄を押さえつけます(脳ヘルニア)。
こうなると、あっという間に意識がなくなり、呼吸が止まって死にいたります。
脳浮腫の最初の症状は、頭痛とおう吐です。
今年のインフルでは、小学生で頭痛がひどく、おう吐する子が目立ちます。
今までの季節性ではなかったことです。幸い、全員がタミフルを飲んで翌日にはよくなっています。
私は、頭痛とおう吐の原因が、軽い脳浮腫ではないかと心配しています。
このことからも分かるように、10歳までの子どもでは、熱が出ればできるだけ早くタミフルを飲むことが大切なのです。タミフルは子どもでは安全な薬ですし、どこの医師でももらえます。
初めの会話に戻ります。
「子どもが熱が出ているので、タミフルだけでももらえますか?」
「たいへん心配ですね。すぐにおいで下さい。」