■みやけ便 第23報 (2010/05/28発行)
■感染症情報
この時期になると毎年マイコプラズマ感染症が流行します。
今年も保育園児や小・中学生に多くみられます。
小さな子どもでは咳と38度以上の熱が続くため、マイコプラズマ感染症に気がつくのは比較的容易ですが、気がついたときには肺炎をすでに起こしていることがしばしばあります。
中学生に近づくにつれて、高熱が出来にくい割りには37度から38度の熱が下がらない、咳が強いなど分かりにくい症状で発症することが多くなります。
いずれにしても熱や咳が持続するときにはマイコプラズマ感染症を疑います。
この病気はふつうに使う抗生剤が効かないという特徴があります。
■かぜQandA:一度かぜをひくと次々とかぜをひきやすくなるのはどうして?
私たちのからだにはかぜの原因となるウィルスに対して、いくつかの防御機能が働きます。
はなやのど(咽頭)の表面には線毛という細かい毛が無数にはえています。
この線毛はウィルスなどの異物が粘膜に付着すると、ベルトコンベヤーのように異物を排除するように働きます。
寒さや空気の乾燥はこのベルトコンベヤーの働きを低下させ、ウィルスの侵入を許してしまいます。
鼻やのどの前線を突破したウィルスに対し、私たちのからだは次の作戦-免疫機能-で防衛します。その中心になるのは血液の中で防衛戦に備えている白血球、とくにリンパ球といわれるものです。これに対して細菌の侵入には白血球の中でも顆粒球が動員され、細菌の退治に活躍します。
一度かぜをひくと、炎症のために鼻やのどの表面の線毛の働きが悪くなってしまい、回復に時間がかかります。この間はかぜのウィルスが鼻やのどに入ってきても排除することが困難になります。さらにウィルスの侵入に対してリンパ球がたくさん動員され、ウィルスとの戦いに活躍します。
しかし戦いの結果、かぜの治りかけには一時的にリンパ球が減少してしまいます。
こじれかかると細菌との戦いのために、顆粒球が一時的に増えてきて、リンパ球の割合が減ってきます。
こうして白血球の中のリンパ球の割合が減ってくると、次から次にかぜのウィルスの侵入を許してしまうことになります。
一度かぜをひくとかぜが治っても、ウィルスの排除のための線毛の働きや免疫機能の回復には時間がかかります。この間はかぜをひきやすくなり、結果的に次から次にかぜをひくことになります。