■みやけ便 第39報 (2011/1/7発行)


■感染症情報


気になるインフルエンザの流行状況ですが本院では昨年暮れに60歳代のご夫婦、20歳代の女性でA型陽性となりました。ご夫婦は同じお住まいの子どもさんから感染したもようです。20歳代の女性の感染源は明らかではありませんでした。市内の小児科からの報告例でも、帰省先からの持ち込み例で、市内で感染したというケースは小児を含めてまだ少ないようです。

今年は季節性のA香港型の流行が心配されていますが、昨年の新型よりもはるかに強力だそうです。しかし、どの程度の規模の流行が起こるかはまったくもって未知数です。
例年の流行に比べると、今年の流行はおとなしいようにも思えるのですが???

医療機関がインフル流行の目安としているのは、学級閉鎖のニュースです。
学校の始まる来週以降の新聞報道にご注意下さい。

 


■かぜQandA:ふつうのかぜとインフルエンザはどうちがうのですか?


かぜは寒さやアレルギーなどの非感染性因子とウィルス、細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどの感染性因子によって引き起こされています。その中でウィルスによるものが圧倒的に多く、そのウィルスの種類も200種類以上に及んでいます。
このようにかぜと一口に言っても、症状はさまざまであり、ときにはかぜをこじらせて重症になったり、肺炎や心臓や脳の病気など合併症を併発させたりして、危険な状態になることもある、やっかいな病気です。

インフルエンザは数あるかぜの中でも、かぜの王様といえます。
毎年冬になるとインフルエンザが流行してきます。なぜ毎年のようにインフルエンザは流行するのでしょうか?
最大の理由は、インフルエンザウィルスは抗原が変わりながら流行するためです。
それではなぜウィルスの抗原が変わるのでしょうか?
現在までの研究で分かっていることは、

  1. インフルエンザウィルスのRNAは一般のウィルスと異なり、8個の分節から成り立っており、かつトリ、ウマなどの動物にも感染するインフルエンザウィルスがあって、ヒトインフルエンザウィルスとの間に遺伝的再結合を起こしやすく、したがって、抗原性の変異を起こしやすい、
  2. ウィルスの気道粘膜での増殖速度がきわめて早く、潜伏期が1~2日と短い、
  3. ヒト以外の野生動物の間でA型インフルエンザの流行が起きている などです。

ひとたびインフルエンザが流行すると、その伝染速度はきわめて早く、ときには世界中に大流行を引き起こし、多数の死者を発生させます。その流行の激しさ、症状の重さから、インフルエンザはただのかぜではなく、かぜの中の王様となっています。

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