■みやけ便 第42報 (2011/2/22発行)


■感染症情報


今年のインフルエンザの流行は急に失速して、先週からはほとんど見られなくなりました。
あちこちで強毒性の鳥インフルの感染が問題になっています。今のところ人への感染は問題になりませんが、ある日突然、人に感染し始めるではないかと心配されています。


新型インフル騒動に隠れて、こっそりと鳥インフルへの予防接種が大量に廃棄されました。本来ならば、有効に使うべきものでしたが残念ですね。

ウィルス性腸炎も少なくなってきました。マイコプラズマや溶連菌感染症、水痘がやや多く見られるくらいで、ほとんど流行らしい感染症はありません。
むしろ今年は花粉症が心配です。

 


■かぜQandA:アレルギー鼻炎とかぜのくしゃみ・鼻水はどうして区別できますか?


花粉症やアレルギー性鼻炎は原因となる抗原が鼻の粘膜を刺激して起こります。
特定の抗原と反応する抗体がすでに存在しているため、抗原・抗体反応が起こる結果、水道の蛇口が開かれたように水ばなが流れ出てきます。これはアレルギー反応の中心的な立場をなす好酸球といわれる白血球の一種から化学物質(ケミカルメディエーター)が放出され、鼻の粘膜の血管の透過性が亢進したためです。感染防御機能は破壊されないために細菌感染が起こることはなく、花粉症やアレルギー性鼻炎の鼻水は透明で色がつくことはありません。原因となる抗原がなくなると、抗原・抗体反応が消失し化学物質がなくなるため、鼻水は速やかに消えていきます。

かぜのほとんどはウィルスが原因で起こります。鼻の粘膜に炎症反応が起こる結果、異物を排出するための線毛運動や感染防御機能が破壊されてしまいます。こうなると細菌に対する防御が低下して、細菌が増殖してきます。細菌感染に対しては別な種類の白血球(好中球)が動員されます。細菌とこれらの間で戦いの結果、白血球や細菌のなきがらがうみとなって鼻水の成分となり、黄色や緑色の色がついてきます。

かぜの鼻水が透明なときは花粉症やアレルギー性鼻炎と区別が困難なこともあります。鼻水の成分を調べると、花粉症やアレルギー性鼻炎では好酸球が現れてきます。かぜの鼻水では好中球が現れたり、色がついてきます。

鼻の粘膜を観察すると、かぜでは赤くなっているのに対して、花粉症やアレルギー性鼻炎では粘膜があれてきたり白っぽくなってきます。また花粉症やアレルギー性鼻炎では涙や眼がかゆいなどの別の症状が現れてきます。

しかし花粉症がひどくなると、鼻やのどの奥の炎症が強くなり、のどの痛みや微熱や体の倦怠感を起こすようになり、かぜとの区別が困難になります。

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