■みやけ便 第45報 (2011/4/15発行)
■感染症情報
今年は例年になく寒い日が続きましたが、やっと暖かな春を迎えました。それでも寒暖の差が大きいために風邪の方が多く来られます。その中でA型とB型のインフルエンザも少なくありません。小学校や保育所ではB型のインフルエンザが流行しています。
その他の感染症としては、おたふくかぜと水ぼうそうが流行しています。また、おう吐・下痢のかぜも依然として流行っています。大人の人が水ぼうそうにかかることがあります。抗ウィルス薬が利用できるので今はそれほど困りませんが、以前は大人の水ぼうそうはそれはそれはたいへん辛い病気でした。大人のおたふくかぜには今でも特効薬はありません。
■かぜQandA:かぜでどんなときに血液検査が必要ですか?
かぜの初期には血液検査は特に必要な検査とはいえないでしょう。しかし
1)かぜがこじれてきたとき
2)かぜの症状がみられても他の内科の病気が疑われるとき
3)いわゆるかぜ症候群の中でも特徴的な血液検査の結果から診断がつくとき
などでは血液検査が必要になります。
かぜはほとんどがウィルス感染であり、特徴的な血液の変化は少ないといえます。しかし発熱が続くときに白血球の数や種類の変化が認められることがあります。
かぜがこじれて細菌感染を起こしてくると、白血球数が増えてきたり、CRPや血沈などの検査が異常を示すようになります。ふだんみられない白血球が血液中に現れるようになったり、貧血や血小板数の減少がみられたら、いろいろな血液疾患やEVウィルス感染症などが疑われます。
乳児期に多い百日咳でも、リンパ球数の増加が手がかりとなります。
急性肝炎の初期症状は、発熱とかぜに似た症状で診断が困難なことがあります。数日で黄だんが出てくるので尿検査などから察しはつきますが、血液検査で肝機能の変化が重要な目安になります。
肺炎を起こしたときには、炎症反応の目安であるCRPや白血球数の変化が治ったかどうかの判定に重要です。肺炎の治療の過程では軽快していくにつれ、CRPや白血球数が正常値に近づいていきます。胸部レントゲンの陰影は少し遅れて消えていくため、血液検査の変化がより敏感な指標といえます。
また逆に、かぜ症状が続いても血液検査で大きな異常がみられないときには、こじれていないのではないかとある程度の予測をたてることができます。