■みやけ便 第46報 (2011/5/31発行)
■感染症情報
5月は中頃から急に気温が上昇し、雨も多く降りました。気温の変化が大きく、そのために 体調をくずしたり、かぜをひいたり。インフルエンザがやっと終わったかほっとする間もなく、 こんどは夏かぜの流行です。手足口病やプール熱といった夏かぜが見られるようになりました。 おたふくかぜも保育所などで流行しています。マイコプラズマと思われる咳や熱の子どもも みられます。今の時期のかぜはこじれて肺炎を起こすことがあり注意が必要です。
その中で病原大腸菌O-111による食中毒が話題になりました。原因はユッケの生肉でしたが、 いっぱんに生肉は食中毒の原因になりやすいために注意が必要です。かぜや食中毒による下痢の時に げり止めは飲んでも良いのでしょうか?とときどきご質問があります。病原大腸菌は毒素型のため げり止めで下痢を止めると、病原大腸菌が身体に残り、よけいに悪化します。しかし、ふつうの げりや食中毒の多くは毒素型ではないので、げり止めを飲んでもかまいません(5月30日)。
■かぜQandA:かぜの診察で口を開けて何をみているのですか?
口をあけてみえるのどの奥を咽頭といいます。その両端には(口蓋)扁桃、のどの奥の真ん中にぶら下がっているのは口蓋垂です。
こどもの感染症は口の中にいろいろな変化を伴う病気がみられます。麻疹(はしか)では特徴的な小さな白い斑点が口の中の頬の粘膜にみられます(コプリック斑)。また水痘(水ぼうそう)やヘルペス性歯肉口内炎、手足口病では口の中に口内炎が多発してきます。夏かぜのひとつヘルパンギーナでは口蓋垂の周囲に口内炎ができてきます。また、溶連菌感染症ではイチゴ舌とよばれる変化がみられることがあります。
こども、おとなを問わずかぜで最も多くみられる変化は咽頭壁の発赤でしょう。場合によっては扁桃が肥大して扁桃炎を起こしてきます。扁桃炎に膿が付着してくる場合も多くあります。扁桃肥大は子どもでしばしばみられますがこような子どもの両親のどちらかも扁桃肥大を持っていることが多いようです。咽頭壁や 扁桃の発赤がひどくなると発熱しやすくなります。
大人の扁桃炎は炎症が周囲に広がり、扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍を生じてくることがあります。この場合、痛みが強いだけでなく食事などが飲み込みにくくなったり、呼吸困難から窒息を起こすことがあり注意が必要です。このように口の中の所見はかぜに関するいろいろな情報を与えてくれます。