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パズルで分かる不整脈

発作性上室性頻拍症

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この病気は、突然に脈拍が速くなり(1分間に160回〜220回くらい)、突然に元に戻るのが特徴です。頻脈発作が短い場合は、胸が「ドキドキする感じ」くらいですが、脈拍200回くらいになると、胸苦しさやめまいを伴い,やがて手足が冷えてきて顔面蒼白になり,さらにひどくなると意識が遠のいたり吐き気を催したりします。

頻脈発作の持続時間は数秒から数時間までとさまざまで、起こる回数もまちまちです。しばらくはがまんが出来ても、長く続くと不安感が強くなります。この頻脈発作により命の危険はありませんが、苦しさと不安感のあまり、救急車を呼んだり緊急病院にかけ込むことになります。

どうして頻拍症が起こるのでしょうか?

発作性上室性頻拍症は決してまれな不整脈ではありません。ふつうは心臓に病気のない人にも起こることが多いのですが、WPW症候群、甲状腺機能亢進症、その他の心臓病が原因で起こることがあります。誘因には、何もないものから、不眠、過労、コーヒーやアルコールの飲み過ぎ、ストレスなどがあります。

発作性上室性頻拍症は、重症な心臓の病気がある場合を除いて、命にかかわる不整脈ではありませんが、一度起こるとくり返すことが多く、日常生活に支障をきたします。

少し詳しい説明

発作性上室性頻拍症が起こるメカニズムには、おもに次の2つが考えられます。

第一には、正常な伝導路(房室結節)以外にも心房と心室を短絡する副伝導路(ケント束)が存在してしまっているもので、発作性上室性頻拍を引き起こす最も一般的な原因といえます(WPW症候群と呼ばれ、特徴的な心電図の波形の変化を示します:誰にでも分かる心電図の簡単な読み方−11.名前の付いた心電図の変化について)

第二には、房室結節リエントリーによって起こるものです.先天的に心臓の刺激伝導系に異常があって,本来は1本であるはずの房室結節内の伝導路が2本以上存在してしまうものです。過って別の伝導路を通った信号が、正常伝導路を通って心房に再び戻ってきてしまう(リエントリー)ことにより、頻脈発作が誘発されます。正常伝導路と副伝導路の両者を介して信号がグルグル回り出して,心拍数が異常に多くなります。

診断について

心電図をクリックすると拡大します

(心電図1)発作性上室性頻拍症
(心電図1)発作性上室性頻拍症

頻拍症の発作時に心電図を記録することが診断につながります。頻拍症が長時間持続して病院にかけ込み心電図を記録して、上室性頻拍症であることが確認できれば、診断が確定します。心電図では、毎分160から200回前後の頻脈発作が記録されます。一つ一つの波形は正常に近いのが特徴です。(心電図1)

在宅心電図モニターの重要性について

(写真1)在宅心電図モニター
(写真1)在宅心電図モニター

(心電図2)発作性上室性頻拍症
(心電図2)発作性上室性頻拍症

(心電図3)発作性上室性頻拍症(非発作時)
(心電図3)発作性上室性頻拍症(非発作時)

頻脈発作の持続時間が短いと、病院にかけ込んでも心電図が正常に回復しているため、診断がつかないことがあります。ホルター型24時間心電図記録という長時間の心電図記録装置をつけて検査をしても、その間にうまく頻脈発作が記録されるとは限りません。

本院では在宅心電図モニターという貸し出し用の携帯心電図計を利用しています。これは小型の携帯用の心電図計で、発作時に胸に当てると30秒間心電図が記録されます。そして電話機の受話器に当てて送信すると、センターを経由して、Faxで医院に心電図が送信されてきます。

この器械はもっと普及することが期待されましたが、意外に普及せずほとんど利用されていませんが、不整脈の診断にはたいへん有用です。(写真1)

この器械のメリットは次のようなことです。

  1. ホルター型24時間心電図記録と違い、器械を体に常に装着しておく必要がないため、若い人でも不快感を伴わず検査ができること
  2. 24時間という検査時間に制限がなく、1から2週間の長期間貸し出しができること
  3. 繰り返し心電図を記録しては、何回でも送信できること
  4. ホルター型24時間心電図記録に比べて、検査料も10分の1程度ですむこと

在宅心電図モニターで発作性上室性頻拍症と診断ができた例を示します。発作のない時と発作時とでは明らかに心電図に変化があることが分かります。(心電図2と3)

治療について

治療は、頻回に頻脈発作を起こす人や症状の強い人が対象になります。重症な心臓の病気がなく、発作の頻度が多くない場合には、息をこらえて強くきばる、冷たい水を飲む、冷たい水に顔をつける、くしゃみやあくびをくり返す などの迷走神経の刺激で発作を止める方法が、自宅でできる簡単かつ安全な治療法としてあります。眼球圧迫や頚動脈マッサージという方法もありますが、眼球を傷つけたり、また徐脈や心停止を起こすと危険なので、勧められません。

この方法が効かない、あるいは頻脈発作の頻度が多い場合は、薬の服用である程度の予防ができます。薬の種類によっては頻脈発作を誘発する可能性があることや、長期間の服用により副作用が起こりえることも知っておく必要があります。

発作がなかなか止まらず、薬剤でコントロールが困難な場合や、その都度病院へ行って薬剤の注射が必要な場合、頻脈発作が持続して心不全が起こる、発作時にめまいや失神を起こすなどのひどい症状を起こす場合は、カテーテルアブレーション治療の適応になります。カテーテルアブレーション治療とは、血管を通して心臓の中に細い管を入れ、不整脈を起こす異常な電気信号の発生源に熱を当てて焼き切るという根治的な治療法で、90%以上が完治すると言われています。

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