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血液検査で分かること

血液検査肝機能検査

代表的な肝臓・胆道系の検査
GOT(AST)
GPT(ALT)
おもに幹細胞に含まれる酵素で、幹細胞が変性したり、破壊されると血液中に増加してきます。
ALP
LAP
肝臓の中では胆管に多く存在し、肝内胆管の破壊によって、血液中に増加してきます。
総Bil
直接Bil
ビリルビンは黄だんの程度を調べる検査で、肝臓や胆道の病気などで増加します。
LDH 肝臓のほかにもいろいろな臓器にある酵素で、それらの臓器の障害で増加します。
γ-GTP 飲酒状態によって大きく変動するため、アルコール性肝障害などで増加します。
ChE コリンエステラーゼは幹細胞の障害に比例して低下します。
逆に脂肪肝では増加します。

 

肝臓の構造

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肝臓の構造
(イラスト1)


(イラスト2)


(イラスト3)

肝臓はほとんどが肝細胞と血管系からなっています。
肝細胞はタンパク質を含み、多くの物質の合成や分解に関係する重要な働きがありますが、胆汁もまた肝細胞で作られています。

これらの物質の運搬のために肝細胞の周囲には、類洞と呼ばれる毛細血管が網の目のように並んで走っています。
肝臓には門脈と呼ばれる栄養分に富んだ血管と肝動脈が流れ込んで行きます。
肝臓に流れ込んだ血液は、類洞でいろいろな物質のやりとりをした後に、中心静脈から流れ出ていき、最後には太い肝静脈となって出ていきます。(イラスト1)

肝臓にはまた肝細胞で合成された胆汁の通路である胆管がありますが、この肝内胆管も少しずつ太くなって肝臓から出ていきます。
胆のうは胆管の通り道にある胆汁の一時的な貯蔵所のような袋で、胆のうでは胆汁は合成されていません(イラスト2、3)

少量の繊維が肝細胞を仕切っていますが、門脈と胆管はこの繊維の中を並んで走っています。
ウィルス性肝炎やアルコール性肝炎が長引くほど繊維化の程度が進行し、最後には肝硬変となります。

詳しい説明:基本的な肝機能検査の考え方

肝臓は大きく分けて、おもに肝細胞、血管、胆管、繊維からできています。
肝機能障害は、
1)肝細胞の障害
2)胆汁の流出障害
3)慢性化による肝機能異常

の3つに分けられます。

肝機能検査では、いろいろな検査の組み合わせにより、肝細胞、胆管系の障害の程度、慢性化の程度 を知るようにします。

1)肝細胞の障害

(GOT、GPT、LDHなど)

いろいろな原因で肝機能障害は起こりますが、多くの場合、肝細胞が破壊されます。
肝細胞が破壊されると、その中に含まれるタンパク質が血液中に流出してきて増加します(GOT、GPT、LDHなど)。
その量は肝細胞の破壊の程度が強いほど、数値が高くなります。
逆に肝機能障害の改善とともに低下してきます。
ウィルス性急性・慢性肝炎、薬剤性肝機能障害、自己免疫性肝炎、アルコール性肝障害など多くの肝疾患で、病状の変化を知るための重要な指標となります。

なお、GOT、GPTは有名な肝機能検査ですが、国際的にはAST、ALTという名前が一般的なため、最近ではそれぞれAST、ALTと呼ばれるようになっています。
GOTは筋肉など、他の組織にも分布しますが、GPTは比較的肝臓に集中して存在します。
そのため、急性期には、GPT>GOT ですが、慢性化に従い逆転し、GOT>GPTと変化します。

2)胆汁の流出障害

(ALP、LAP、γ-GTP、ビリルビンなど)

肝細胞で作られた胆汁は、肝内胆管を通って集められていきます。
やがて肝内胆管は太くなり、最後には一本の太い総胆管となり、十二指腸に流出します。
胆汁の流出障害は、肝臓の中の細い胆管でも、また肝臓を出た後の太い部分でも起こります。

肝臓の中では、多くの場合は肝炎などの肝細胞障害に伴って、肝内胆管も破壊されるために、胆管内に多く分布するALPやLAPも上昇してきます。
一方、飲酒時には胆管内にγ-GTPというタンパク質が増えてくるため、アルコール性肝機能障害の程度を知る重要な指標となります。
肝疾患の中には、おもに胆管系に障害を起こす病気も存在します(原発性胆汁性肝硬変など)。

胆汁の流出障害は、胆管が肝臓から出る部分や、肝臓から出た後のどの部分でも起こります。
胆石や腫瘍により部分的にでも胆管が閉塞すると、ALP、LAP、γ-GTPなどが上昇してきます。
胆管の閉塞にもっとも重要な検査はビリルビンで、黄だんの程度を知るための指標となります。
黄だんは、肝細胞障害(急性肝炎など)でも、胆管の閉塞(胆石や腫瘍など)でも起こります。
肝臓を出た後の胆管の閉塞による黄だんは、閉塞性黄だんと呼ばれます。

3)慢性化による肝機能異常

急性肝機能障害は肝細胞の障害が中心となるために、これらに分布する酵素が急上昇しますが、肝機能の改善とともに検査結果も改善します。

しかしウィルス性肝炎などが慢性化して長引くと、肝細胞が破壊・再生を繰り返すほか、肝臓の繊維成分が増えていきます。
肝細胞が長い間破壊されると、前述のGOT、GPTの上昇だけでなく、肝細胞で合成されるタンパク質の減少によるいろいろな検査の異常と、繊維成分の増加による検査の異常 が加わってきます。

肝細胞の障害によるタンパク質の合成障害の一つが、コリンエステラーゼ(ChE)です。
そのほかには、血清タンパク質であるアルブミン(血液中に存在して、いろいろな物質の運搬や、血液の濃さを調節するタンパク質)の減少や血液の凝固機能に関係するタンパク質の減少(凝固因子の低下のために血液が固まりにくくなります)を引き起こします(PT、APTTの異常)。

肝疾患の慢性化に伴い、肝細胞の障害だけでなく、肝臓の繊維成分の増加が起こってきます。
繊維成分の増加に伴い、ガンマグロブリンというタンパク質が血液中に増加します。
アルブミンの減少とガンマグロブリンの増加が、慢性化に伴う血液中のタンパク質の異常です(A/G比の減少)。
ガンマグロブリンそのものの増加は直接測定できますが、古くは膠質反応(ZTT、TTT)で間接的に測定していました。

肝臓の繊維化は、ちょうど山火事にたとえることができます。
山火事が続くと、焼け野原が広がっていきます。焼け野原が、繊維化と同じです。
焼け野原がある程度以上進行すると、肝硬変と呼ばれるようになります。
肝臓の慢性化の程度を正確に知るためには、血液検査とともに、肝臓の一部を針でついて採取して調べる肝生検が必要となります。

まとめ

肝細胞の障害 GOT(AST)、GPT(ALT)、LDH など
胆管系の異常 ALP、LAP、γ-GTP など
肝疾患の慢性化の検査 ChEの低下、アルブミンの減少とガンマグロブリンの増加(A/G比の低下)、凝固因子の低下(PT、APTTの異常)など。
これに加えて、血小板の減少が、慢性化の指標として重視されます。

参考文献)
@)日本医師会編:肝疾患診療マニュアル.日本医師会、1999.
A)日本医師会編:臨床検査のABC.日本医師会、1994.
B)日本医師会編:腹部エコーのABC、1987.
イラスト2、3は文献@)およびB)から抜粋させていただきました。

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