急に胸の痛みを感じたとき、まず大切なのは
a 痛みが突然起こったか、徐々に起こってきたかどうか?
b 痛みの場所や広がり
c どのくらい痛みが持続するか?
d 痛みが姿勢や呼吸・咳で強くなるか?
の4点です。これらは診断の手がかりになるため重要です。
a 痛みが突然起こったか、徐々に起こってきたかどうか?
痛みが突然起こった場合には何かが「詰まる、ねじれる、裂ける、出血、破裂」する病気を考える という、診断上のたいへん重要な原則があります。反対に痛みがいつの間にか起こってきた場合には、緊急性が低い病気を考えます。しかし、患者さんの苦しみが強いと、記憶があいまいになり判断に困ることもあります。「何かしているときに、急に苦しくなりましたか?」など質問を変える工夫が必要です。
b 痛みの場所や広がり
痛みの場所が広い範囲で起こるときには、1不安定狭心症・心筋梗塞、2大動脈瘤解離、3肺塞栓症 の可能性がありますが、一つの場所(ピンポイント)で起こるとき、これらの病気は考えにくいです。
患者さんに痛みの場所を聞いたとき、「ここです」と人差し指で指さしたときには 1不安定狭心症・心筋梗塞、2大動脈瘤解離、3肺塞栓症 は考えにくく、手のひらを広げて胸を押さえるような仕草をしたときや場所がはっきりしないときには、123 の可能性が高くなります。
c d どのくらい痛みが持続するか? 痛みが姿勢や呼吸・咳で強くなるか?
一般に 1不安定狭心症・心筋梗塞、2大動脈瘤解離、3肺塞栓症 のような重篤な病気では、胸の痛みは数十分~数時間続くのがふつうです。痛みが姿勢の変化や咳・深呼吸で一瞬起こるか、または数分くらいで治まるときは、 123の可能性は低いと考えられます。 4心外膜炎、5気胸、6胸膜炎、肋間神経痛、帯状疱疹、逆流性食道炎や胆石の発作 に含まれる病気では、さし込むような痛みが瞬間的に起こるか、または数分以内に治まるのがふつうです。さらに姿勢の変化や深呼吸・咳などで痛みが誘発されます。
姿勢によって痛みが変化するとき、深呼吸や咳で誘発される胸の痛みでは、最重要な 1不安定狭心症・心筋梗塞、2大動脈瘤解離、3肺塞栓症 の可能性は低くなります。
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