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町医者の診療メモ Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

関節痛・筋肉痛と内科の病気

Dr.みやけ

内科の日常診療でよくみられる『 関節痛・筋肉痛 』の症状について、診察室の短い時間内で、(絶対とは言えないまでもほぼ)正しい結論にいたることのできる、知識と経験に基づいた手法を述べたいと思います。

関節痛・筋肉痛を生じる内科の病気は膠原病や免疫異常に関連していることがあり、それらは一般に診断がむつかしいとされます。一方、筋肉痛や倦怠感を主な症状とする線維筋痛症、慢性疲労症候群のように原因がいまだ明らかでないものもあります。
内科疾患の中で、関節痛を起こす痛風や関節リウマチは一般的な病気でそれほど珍しくありません。しかし、その他の病気は比較的まれな病気とされ、原因も明らかでないものが多く仮に出会ったとしても診断に困ります。

この数年間にリウマチ性多発筋痛症、SAHPO症候群、乾癬性関節炎、成人発症スティル病(疑い)、IgA血管炎、回帰性リウマチ(疑い)、強直性脊椎炎 などを経験することができました。こうした経験から得られたヒントは、

  1. 関節痛や筋肉痛の部位と性質
  2. 年齢や性別
  3. 皮膚症状
  4. その他の全身症状

に注意すると、原因となる病気を絞りこむことが可能ということでした。

これらの組み合わせに血液検査の結果を加味すると、さらにより正確に原因となる病気にたどり着くことができるようになります。最終診断は専門病院に依頼することになりますが、高度な診断技術や検査手段に恵まれない場合でも、これらの病気を思い浮かべることができれば、迅速かつ正確な診断につながります。

まず関節痛・筋肉痛が起こった場合、「どこの部位に起こっているか?」、「痛みの性質や特徴は?」に注目すると原因となる病気を絞り込みやすくなります。

関節痛・筋肉痛と内科の病気:目次

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

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