内科の日常診療でよくみられる『 関節痛・筋肉痛 』の症状について、診察室の短い時間内で、(絶対とは言えないまでもほぼ)正しい結論にいたることのできる、知識と経験に基づいた手法を述べたいと思います。
関節痛・筋肉痛を生じる内科の病気は膠原病や免疫異常に関連していることがあり、それらは一般に診断がむつかしいとされます。一方、筋肉痛や倦怠感を主な症状とする線維筋痛症、慢性疲労症候群のように原因がいまだ明らかでないものもあります。
内科疾患の中で、関節痛を起こす痛風や関節リウマチは一般的な病気でそれほど珍しくありません。しかし、その他の病気は比較的まれな病気とされ、原因も明らかでないものが多く仮に出会ったとしても診断に困ります。
この数年間にリウマチ性多発筋痛症、SAHPO症候群、乾癬性関節炎、成人発症スティル病(疑い)、IgA血管炎、回帰性リウマチ(疑い)、強直性脊椎炎 などを経験することができました。こうした経験から得られたヒントは、
- 関節痛や筋肉痛の部位と性質
- 年齢や性別
- 皮膚症状
- その他の全身症状
に注意すると、原因となる病気を絞りこむことが可能ということでした。
これらの組み合わせに血液検査の結果を加味すると、さらにより正確に原因となる病気にたどり着くことができるようになります。最終診断は専門病院に依頼することになりますが、高度な診断技術や検査手段に恵まれない場合でも、これらの病気を思い浮かべることができれば、迅速かつ正確な診断につながります。
まず関節痛・筋肉痛が起こった場合、「どこの部位に起こっているか?」、「痛みの性質や特徴は?」に注目すると原因となる病気を絞り込みやすくなります。
関節痛・筋肉痛と内科の病気:目次 |
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