6骨軟化症(こつなんかしょう)
骨軟化症は骨が成長した成人にみられ、骨膜および骨組織のカルシウム代謝障害により骨が弱くなる病気です。骨が成長する前の小児では「くる病」と呼ばれます。
カルシウムは骨の主成分ですが、活性型ビタミンDはそのカルシウムの動きを調節する重要な役割があります。ビタミンDは魚肉やキノコ類などの食品に多く含まれるだけでなく、日光により皮膚でも合成されますが、ビタミンDそのものはカルシウム代謝に関与しません。
ビタミンDは腸から吸収されると、肝臓と腎臓で酵素の働きを受け活性型ビタミンDに変化します。活性型ビタミンDはわずかな量で、血液中のカルシウム濃度を調節し骨代謝に深く関与します。
食事情の悪かった一昔前には、栄養不足からくるビタミンD欠乏によって生じる骨軟化症が多くありました。現在ではそのようなビタミンD欠乏よりも、ビタミンD抵抗性くる病の成人型が増加しています。
現代のビタミンD欠乏の原因の一つに、魚・肉・乳製品などの摂取不足による栄養の偏りや日光を極端に避ける生活習慣によるものがあります。このような偏った生活習慣は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを心配するあまり、過度の食事制限を続けた結果予期せずに起こることがあります。また若者がファストフードばかり食べていた時、極端なダイエットを続けた時などに起こることがあります。
骨軟化症で生じる痛みの部位
骨軟化症は、発症当初では自覚症状はほとんどありません。しかし病気が進行すると、骨が弱くなるために自分自身の体重を支えることが困難となり、姿勢を維持するために負担がかかりやすい腰・腰椎・股関節・膝関節などに慢性的な痛みが生じます。進行すると、下肢や臀部の筋力低下による歩行障害(あひる歩行)、脊椎骨折により脊柱の変形などが現れます。
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