町医者の診療メモ関節痛・筋肉痛と内科の病気 > A、首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み 

町医者の診療メモ:関節痛・筋肉痛と内科の病気 Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

A、首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み

6骨軟化症(こつなんかしょう)

骨軟化症は骨が成長した成人にみられ、骨膜および骨組織のカルシウム代謝障害により骨が弱くなる病気です。骨が成長する前の小児では「くる病」と呼ばれます。

カルシウムは骨の主成分ですが、活性型ビタミンDはそのカルシウムの動きを調節する重要な役割があります。ビタミンDは魚肉やキノコ類などの食品に多く含まれるだけでなく、日光により皮膚でも合成されますが、ビタミンDそのものはカルシウム代謝に関与しません。
ビタミンDは腸から吸収されると、肝臓と腎臓で酵素の働きを受け活性型ビタミンDに変化します。活性型ビタミンDはわずかな量で、血液中のカルシウム濃度を調節し骨代謝に深く関与します。

食事情の悪かった一昔前には、栄養不足からくるビタミンD欠乏によって生じる骨軟化症が多くありました。現在ではそのようなビタミンD欠乏よりも、ビタミンD抵抗性くる病の成人型が増加しています。

現代のビタミンD欠乏の原因の一つに、魚・肉・乳製品などの摂取不足による栄養の偏りや日光を極端に避ける生活習慣によるものがあります。このような偏った生活習慣は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを心配するあまり、過度の食事制限を続けた結果予期せずに起こることがあります。また若者がファストフードばかり食べていた時、極端なダイエットを続けた時などに起こることがあります。

骨軟化症で生じる痛みの部位
骨軟化症で生じる痛みの部位

骨軟化症は、発症当初では自覚症状はほとんどありません。しかし病気が進行すると、骨が弱くなるために自分自身の体重を支えることが困難となり、姿勢を維持するために負担がかかりやすい腰・腰椎・股関節・膝関節などに慢性的な痛みが生じます。進行すると、下肢や臀部の筋力低下による歩行障害(あひる歩行)、脊椎骨折により脊柱の変形などが現れます。

関節痛・筋肉痛と内科の病気:目次へ

※このサイトは、地域医療に携わる町医者としての健康に関する情報の発信をおもな目的としています。

※写真の利用についてのお問い合わせは こちら をご覧ください。

町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

めまい:脳からみためまいを中心に

関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患


 上に戻る