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町医者の診療メモ:関節痛・筋肉痛と内科の病気 Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

D.不定部位に起こる関節痛や筋肉痛

Dr.みやけ

上下肢の特定の関節に限らず、広い範囲の関節や筋肉に痛みを生じることがあります。内科診療所の外来では、これらの疾患が原因で起こる関節痛や筋肉痛の中で、とくに1から4の疾患はしばしば遭遇します。

1おとなのりんご病

子どもの頬が赤くなることから「りんご病」と呼ばれる伝染性紅斑はおとなも感染します。症状が子どもとは異なるためあまり知られていませんが、関節の強い痛みやむくみが続いたり、妊婦が感染すると流産したりするリスクがあります。春から夏にかけて流行する傾向があります。

りんご病、伝染性紅斑は「ヒトパルボウィルスB19」というウィルスが原因です。感染者の咳やくしゃみに含まれるウィルスを吸い込む、ウィルスが付着した手で口や鼻を触るなどしてウィルスが体内に入ると、数日から2週間ほどの潜伏期間をへて発病します。

患者さんは9歳以下に多いとされ、おとなでの実体はよく分かっていません。子ども達に接する機会の多い比較的若い層の30~40歳代の女性に多い印象がありますが、男性でもみられます。

典型的なおとなの関節痛では、「朝の起床時に手の指が曲がらないほどのむくみ、やがて手首や足首に立って歩けないほどの痛みが起こり、包丁なども握りにくく家事も困難で、はうようにしか動けない」という症状が出ます。子どものようなりんごほっぺの例は大人ではほとんどありませんが、前腕部や大腿部にとくに風呂上がりにレース状の赤い網目模様(紅斑)がみられることがあります。このような症状から関節リウマチや膠原病などを疑われて、検査を繰り返し受けることがあります。

通常はこれらの症状は一週間ほどで自然に消失します。感染しても症状が出ない人がいる一方で、激しい関節痛が長いと数週間、まれに数年も続く場合があると言われます。

詳しくは、下記ページもご覧ください。

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町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

めまい:脳からみためまいを中心に

関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患


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