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町医者の診療メモ:関節痛・筋肉痛と内科の病気 Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

B、おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み

2リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症は、50歳以上の高齢者に多く発症しピークは70-80歳とされています。男女比は1:2から1:3で女性に多く、病因は現在のところ不明です。「リウマチ」という名前はついていますが、関節リウマチとは別の病気です。
肩の痛みが最も頻度が多く(70-95%)、次いで頚部・臀部(50-70%)、大腿(太もも)の疼痛、こわばり感を認めます

高齢者の方が、「急に両腕が肩より上に挙げられなくなって、両肩から上腕にかけてと太ももに筋肉痛がでてきた。朝に顕著なこわばりが出るようになって、着替えや寝返りがしにくい、起き上がりにくく体が動かしにくくなった」というのが最も多い症状です。
筋肉には圧痛があります。発症は比較的急速で、数日から数週間のうちに症状が出現して持続します。「筋痛症」とありますが、筋肉よりも肩関節の痛みが顕著に認められることが多いです。

こわばりはすべての患者さんで認め、肩や臀部、大腿などに、起床後最低30分は持続します。多くの場合、このこわばりは体を動かさずにじっとしていると強くなります。また、発熱、食欲不振、体重減少、倦怠感、うつ症状などを伴うこともあります。

こめかみ周囲の頭痛、噛む時のあごの違和感、視力障害、38℃以上の発熱を伴っていれば巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)の合併も疑われます。

リウマチ性多発筋痛症で生じる痛みの部位(※赤丸は主な関節痛の部位)
リウマチ性多発筋痛症で生じる痛みの部位(※赤丸は主な関節痛の部位)

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町医者の診療メモ

町医者の診療メモ:はじめに

(よく見られる症状と診察のポイント)発熱

(よく見られる症状と診察のポイント)頭痛

内科から見た肩こり

めまい:脳からみためまいを中心に

関節痛・筋肉痛と内科の病気

  1. 首筋付近から腰(頸椎から腰椎)にかけて脊柱に沿った痛み
    1. 強直性関節炎
    2. 反応性関節炎および炎症性腸疾患に伴う関節炎
    3. 軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome
    4. SAPHO症候群
    5. 多発性骨髄腫
    6. 骨軟化症
    7. 転移性脊椎腫瘍
    8. 中高年者の腰痛
    9. 化膿性脊椎炎
    10. 石灰沈着性頸長筋腱炎
    11. 脊椎・関節の疾患以外に起こる頚部や胸背部の痛み
  2. おもに肩・肘・手および股・膝・足など大きな関節の痛み
    1. 伝染性紅斑(りんご病)
    2. リウマチ性多発筋痛症
    3. 偽痛風
    4. 成人発症スティル病
    5. IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
    6. 関節リウマチ
    7. 化膿性関節炎
  3. おもに手首・手指の関節の痛みおよび足首・足指など小さな関節の痛み
    1. 関節リウマチ
    2. 痛風
    3. 反応性関節炎
    4. 乾癬性関節炎
    5. 膠原病
    6. 回帰性リウマチ
    7. ヘバーデン結節
  4. 不定部位に起こる関節痛や筋肉痛
    1. おとなのりんご病
    2. 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    3. リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
    4. 低カリウム性ミオパチー
    5. 甲状腺ホルモンの異常
    6. パーキンソン病
    7. 副腎皮質機能低下症
    8. 骨軟化症
    9. 流行性筋痛症(ボルンホルム病)
    10. 各種の膠原病
    11. その他

血液検査からみた診断へのアプローチ

急な胸の痛み(胸痛発作)

いろいろある鎮痛薬

胸部レントゲン写真から考える肺疾患


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