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目からうろこ 知って役立つ「家庭の医学」

内臓脂肪とメタボリックシンドローム(1)

「最近ポッコリおなかが気になってきた」「健康診断で肥満気味と言われた」、年を重ねるごとにそんな声がちらほら聞こえてきます。

1- 内臓脂肪とメタボリックシンドローム

日本肥満学会の肥満度の判定基準によればBMI(*1)25以上は肥満(1度)判定以上とされています。事実、40~50代のうち、女性では19.1%、男性では34.6%であり、男女をあわせて4人に1人はBMI 25以上というデータも出ています。どうして肥満が健康に良くないのでしょうか?その理由の一つは、肥満といっしょに起こる内臓脂肪の増加です。

(*1)BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算します。正常はBMI 22~23です。

内臓脂肪と皮下脂肪

肥満の主な原因は『体脂肪』。体脂肪は、「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の二種類に分けられ、その特徴はそれぞれ異なります。両者は正確には腹部CTで検査できますが、ふつうそこまでは行いません。メタボ健診と呼ばれる特定健診では腹囲で代用します。

皮下脂肪と内臓脂肪
(イラスト:皮下脂肪と内臓脂肪)

内臓脂肪型
(りんご型)
りんご型
  • 内臓の周りに脂肪が蓄積する
  • 上半身に多く脂肪がつく
  • 男性に多い肥満タイプ
皮下脂肪型
(洋なし型)
洋なし型
  • 皮膚と筋肉の間に脂肪が蓄積する
  • 下半身に多く脂肪がつく
  • 二の腕やお尻などに脂肪がつきやすい

内臓脂肪は腸のまわり(腹部)に蓄積する脂肪で、ポッコリおなかの人は内臓脂肪型肥満と考えられます。皮下脂肪は皮膚の下についたつまめる脂肪です。

皮下脂肪は良性脂肪と考えられるのに対して、内臓脂肪は悪性脂肪と考えられています。その理由は、内臓脂肪からはさまざまな化学物質(サイトカイン)(*2)が産生され、動脈硬化を進行させるからです。一方、糖尿病予備群と呼ばれる状態ではインスリン抵抗性(*3)が増大する結果、インスリンの過剰分泌を起こして動脈硬化を進行させます。内臓脂肪の蓄積した状態や糖尿病予備群はメタボリックシンドローム(*4)と呼ばれて、狭心症や心筋梗塞など心血管の動脈硬化に注意しなければなりません。

【少し詳しい説明】

(*2)内臓脂肪に存在するマクロファージ(貪食細胞)が起こす炎症の機転が、単なる肥満から悪性の肥満に変化する大きな要因を担っていると考えられています。マクロファージからはサイトカインと呼ばれるTNF-α、レジスチンなどのインスリン抵抗分子が出てインスリン作用を妨害し、一方ではインスリン感受性分子であるアディポネクチンは減少してインスリンの作用が弱まります。

その結果、インスリンは過剰に分泌されるにもかかわらず、インスリン作用が減弱するため血糖が上昇しやすくなります。インスリンの過剰分泌は動脈硬化を進行させることが知られています。したがって糖尿病を発症するいわゆる予備軍の状態から、インスリン過剰分泌などにより動脈硬化が進むことになります。インスリン分泌過剰の状態が持続すると、インスリンが少しずつ枯渇しやがて2型糖尿病になります。

(*3)インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態で、糖尿病を発症する前(いわゆる糖尿病の予備軍)からすでに起こっています。インスリン抵抗性があると、食事で高くなった血糖値を感知して、すい臓からインスリンが分泌されても、筋肉や肝臓が血液中のブドウ糖を取り込まないため、血糖が下がりません。そのため血糖を下げるためにすい臓からは精一杯インスリンが出ることになり、インスリン分泌過剰の状態になります。やがてすい臓のインスリンの備蓄が少なくなり、2型糖尿病の発病につながります。

インスリン抵抗性は、肥満(とくに内臓肥満)、高血圧、高トリグリセライド血症(中性脂肪が高くなる病気)、低HDLコレステロール血症(善玉コレステロールが少なくなる病気)の方に多くみられます。肥満やこれらの病気をあわせ持った状態はメタボリックシンドロームと呼ばれ、インスリン抵抗性によりさまざまな代謝の異常が同時に起きます。

(*4)脂肪細胞はエネルギーを蓄えるだけでなく、レプチンを介し直接的な作用でT細胞を活性化し、マクロファージ(貪食細胞)を生じて炎症を起こします。脂肪組織はサイトカインを出して自然免疫を調整する重要な場であり、非常に多彩な機能を担っています。これらのバランスの崩れがインスリン抵抗状態をもたらし、動脈硬化の重要な基礎病態を形成するということから提唱された概念がメタボリックシンドロームです。

メタボリックシンドロームの診断基準

1のウエスト周囲径が基準値を超えており、24 のうち2項目以上に該当する場合、メタボリックシンドロームと診断されます。

1内臓脂肪蓄積 ウエスト周囲径(おへその位置)
男性:85cm以上 女性:90cm以上
2脂質代謝異常
  • トリグリセライド(中性脂肪)値 150mg/dL以上
  • HDLコレステロール値 40mg/dL未満
(両方またはどちらか)
3血圧高値
  • 収縮期血圧(最高血圧) 130mmHg以上
  • 拡張期血圧(最低血圧) 85mmHg以上
(両方またはどちらか)
4糖代謝異常 空腹時血糖値 110mg/dL以上

注意が必要なその他の検査値

  • 血清尿酸値:7.0mg/dLを超える
  • 尿pH:6.0未満
  • 総コレステロール値:220mg/dL以上
  • LDLコレステロール値:140mg/dL以上

次ページで、メタボリックシンドロームや糖尿病予備軍にひそむ危険について解説します。

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