(5) ST 部分の変化から分かること
ST降下
ST部分は小さな下向きのS波が水平に変わる部分を指します。
ST部分は水平な基線と同じレベルにあるのが正常です。
ST部分が基線よりも下がると心筋虚血を疑います。(イラスト1、2)
画像をクリックすると拡大します
動脈硬化が原因で起こる労作性狭心症の発作時にはSTが著しく下がり、発作が治まるともとの基線に戻ります。
心筋虚血や狭心症ではSTは水平か右下がりに下がります。
頻脈時などにみられる、右上がりのST降下は正常です。
point pointST降下は心筋虚血か狭心症の発作時!
ST上昇
ST部分が上がるのは、心筋梗塞の発作時がもっとも多いのですが、心膜炎のときもSTは上がります。
心筋梗塞、心膜炎のいずれの場合もSTは上がりますが、微妙に異なる形で上がるため慣れると区別は容易です。(イラスト3)
狭心症の中でも冠れん縮性狭心症(異型狭心症、安静時狭心症などとも呼ばれます)ではST上昇が認められます。
冠れん縮性狭心症はおもに早朝に冠動脈がけいれん性に収縮することによって起こります。
早朝に胸部の圧迫感が30分から1時間かそれ以上の長い時間起こります。日本人には多いとされる狭心症のタイプです。
point pointST上昇は心筋梗塞の発作時、心膜炎を疑う!
正常でもSTが上がって見えることがあります。
T波が早く始まると、R波とT波が重なるためSTが上がって見えます。(イラスト4)
※このサイトは、地域医療に携わる町医者としての健康に関する情報の発信をおもな目的としています。
※写真の利用についてのお問い合わせは こちら をご覧ください。