Q10:食品除去の解除を考える目安について教えてください。
A10:1~2種の食品除去を家庭で実行することはそれほど難しいことではなく、また、保育園では協力が得られるため、いったん食品を除去した状態に慣れると、家族の判断によりそのまま食品除去を続けがちであり、小学校入学時などにあわててしまうことがあります。
このようなことを避けるためには、食品除去が有効である場合にも重要なことは、いつまでも漫然と食品除去を続けるのではなく、除去解除が行われるまで、定期的に食物アレルギーの治療に精通した医師の指導を受けることが大切です。
症状が消失ないし著明改善したとき
症状が消失ないし著明改善したときには、年齢と症状の強さに応じて食品除去の中止を考慮して、除去解除のための負荷試験を行う時期の決定をします。
症状の改善がみられなくなったとき
症状の改善がみられなくなったときには、負荷試験によりその食品が症状の原因となっていないことを確認した上で、速やかに除去を中止します。とくに乳児期発症の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎で気をつける必要があります。
最初は食物が原因・悪化因子であった場合にも、その後に出現する症状は、他の原因・悪化因子によるものであることがあります。確認のための負荷試験をして不必要な食品除去を続けることがないようにします。
食事記録から耐性の獲得が推定された場合
食事記録から摂取していることが確認された場合には、そのまま摂取を続けます。誤って食べたときに症状が誘発されないことが確認され、そのときに食べた量が十分であれば除去を解除します。必要ならば負荷試験を行い判定します。
入園、入学など生活環境が変化するとき
定期的な通院が実行されていない場合でも、集団生活に入る前が見直しのチャンスです。食品除去の継続の必要性あるいは摂取可能量を決定します。
■乳児期発症の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎
1歳になった時点で負荷試験の有無を検討します。医師と相談して決めます。
■過去に即時型反応による重篤な症状を起こした既往がある場合
- 卵、牛乳、小麦のように普通の食事で毎日の摂取するもの:
エピソードから1年たった時点で負荷試験を考慮します。 - ソバ、甲殻類、ピーナッツなど耐性を獲得しにくく、摂取回避が比較的容易な食品:
意図しない摂取により症状が出現しなかった場合には、負荷試験陰性を確認の上、除去解除を行います。特異的IgE抗体が陰性化ないし著明に低下した場合にも負荷試験の実施を考慮します。
参考文献:
1) 独立行政法人環境再生保全機構「ぜん息予防のための よくわかる食物アレルギーの基礎知識」
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