女性の心臓病には男性とは異なる特徴が見られます。
女性の心臓病の特徴
- 女性も年齢が進むと狭心症や心筋梗塞は増えていきますが、「更年期症状」と重なると典型的な症状が出にくく見逃されることも多いため、発見時には男性よりも重症になる傾向があると言われます。
- 更年期女性では女性ホルモンが少なくなるため女性特有の狭心症、いわゆる「微小血管狭心症」が起こりやすいことが知られています。
- さらに高齢女性(男女比1;7、平均年齢60歳代)に多くみられる「たこつぼ心筋症」では狭心症に関連した冠動脈には異常は認められず、心因的ストレスや、身体的ストレスが誘因になると考えられています。「たこつぼ心筋症」は大震災で増加したという報告があります。
卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンには、血管を拡張したり血液をサラサラにする作用があり、女性の身体を心臓血管系の病気から守っています。しかし、50歳前後で閉経して更年期を迎える頃から、エストロゲンが激減し高血圧や動脈硬化の危険が一気に高まると言われています。
更年期障害とは
一般的に「更年期症状」として知られるほてり・冷えのぼせ・動悸・いらいらなどの症状は、大脳の一部である視床下部の自律神経に関係した症状と考えられます。
エストロゲンは卵巣から分泌されますが、エストロゲン分泌は脳下垂体から分泌される卵巣刺激ホルモンで調節されており、正常ではエストロゲンの増減により卵巣モルモンも増減を繰り返し、一定周期で月経が起こります。
閉経期に入り、卵巣からエストロゲンが分泌されなくなると、エストロゲンを少しでも多く分泌するように脳下垂体からは卵巣ホルモンが精一杯多く出ることになります。
(イラスト1)更年期障害
脳下垂体の近くには自律神経中枢の視床下部が存在するため、自律神経の一つ交感神経が過剰に興奮するといわゆる「更年期症状」が発現します。視床下部の交感神経の関与の仕方には個人差が大きいため、「更年期症状」にも個人差が存在すること、脳は一生を通して元気なため「更年期症状」はいわゆる更年期を過ぎた55歳以降にも起こることが分かります。
「更年期症状」に関係した交感神経の嵐は血圧変動を大きくし、心臓病や脳卒中のリスクを高める可能性が考えられます。更年期障害に関連した不安感、気分の落ち込みなどの精神症状は大脳辺縁系が関係していると推測されます。
(イラスト2)ストレスと自律神経
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