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女性と心臓・血管の病気

Ⅲ、若い女性とバセドウ病

Dr.みやけ

バセドウ病は甲状腺臓器の特異性な自己免疫疾患のひとつで、1000人中2~6人いると言われており、女性が男性より5倍と多いのも特徴としてあげられます。

発病年齢は、20歳代、30歳代が全体の過半数を占め、次いで40歳代、50歳代となっており、若い女性から中年にかけて多い病気といえるでしょう。

バセドウ病は、甲状腺の機能が亢進し過剰に甲状腺ホルモンを作る病気です。バセドウ病では特殊な自己抗体が作られ、これが甲状腺を刺激して過剰に甲状腺ホルモンを分泌します。
橋本病も自己抗体が関係していますが、橋本病では甲状腺ホルモンは不足します。なぜ自分の体を攻撃する自己抗体が作られてしまうのかは分かっていません。バセドウ病の患者様の15%くらいは親・兄弟も同じ病気にかかっており、このことから考えると遺伝的な素質もある程度関係しているようです。

バセドウ病

甲状腺ホルモンは身体のエネルギー代謝を活発にする働きがあります。バセドウ病はある程度病状が進行すると、次のような自覚症状が出やすくなります。

疲れやすい、汗かきである、暑がりである、脈拍数が多い、動悸がする、手足がふるえる、食欲が旺盛だがそのわりには体重は増えない、イライラする、眠れない、息切れがする、髪の毛が抜ける、軟便になる、眼球が出てくる

しかしこれらの症状は自分では気がつきにくく、放置されていることもしばしばあります。むしろ風邪などで診療所を訪れたときに、たまたま甲状腺の腫大(はれ)に気がつき、検査を勧められて分かることが一番多いかもしれません。

バセドウ病と診断された後に治療を中断した時などに、急にドキドキと動悸を感じることがしばしばあります。検査をすると甲状腺ホルモンが多いことが分かります。

フリーT4 とTSHを測定すると、ホルモン過多ではフリーT4上昇、TSH低下の状態から容易に甲状腺機能亢進症と診断できます。さらに自己抗体の甲状腺受容体抗体(TR抗体)が上昇していれば、バセドウ病と診断できます。治療の目標はフリーT4とTSHの正常化です。TR抗体は年月を経ると徐々に低下してくるため、TR抗体が正常化すれば、治療を終了することができる可能性があります。

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