経口避妊薬(ピル)には注意が必要になりそうです。
新しい薬ほど血液が固まる問題が起こりやすいと分かりました。英国ノッティンガム大学プライマリ・ケア科の研究グループにより、有力医学誌のBMJ誌2015年5月号で報告されました。
妊娠を避ける薬:経口避妊薬
経口避妊薬は女性ホルモンで妊娠をしないようにコントロールする薬です。女性ホルモンとしては、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲストロン)」を含んでいます。排卵の抑制や子宮内膜に変化を起こすことで妊娠を避けることができます。
世界的には子どもを生める年齢の女性のおよそ9%、発展+途上国では18%、英国では28%が経口避妊薬を使用しているとされます。日本よりも海外の方が一般的と見られます。
新しい薬が登場
ピルの使用により血液が固まる血栓リスクが増加すると知られており、静脈血栓塞栓症という重大な血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群と同様の症状)が起こる恐れがあります。
経口避妊薬は、含まれる黄体ホルモン剤のタイプによって、第1世代~第3世代に分けられています。黄体ホルモン剤のタイプによる血栓の発生しやすさの違いはこれまで明らかではありませんでした。
研究グループは、英国の開業医データベースを用いて、15~49歳の女性でピルの使用と静脈血栓塞栓症のリスクとの関連性を調べました。
ピル使用で静脈血栓塞栓症のリスク3倍
喫煙やアルコール、肥満度、併存症などの知られている他の血栓症危険因子についての条件で調整した結果、ピルを使用している女性は、使用していない女性より静脈血栓塞栓症のリスクがおよそ3倍高いと分かりました。
中でも黄体ホルモン剤のタイプで分けると、「レボノルゲストレル」と「ノルエチステロン」という第2世代、「ノルゲスチメート」という第3世代を含むピルがおよそ2倍、「ドロスピレノン」「デソゲストレル」「ゲストデン」「シプロテロン」という第3世代を含むピルはおよそ4倍でした。新しい第3世代はノルゲスチメートを除いて、第2世代の1.5~1.8倍のリスクになると報告されました。
妊娠そのものの方がリスク高い?
ピルを使用している女性で静脈血栓塞栓症が増加する割合は、レボノルゲストレルとノルゲスチメートが毎年1万人あたり約6人と最も低く、デソゲストレルとシプロテロンが約14人で最も高いことが分かりました。
研究グループは、経口避妊薬は非常に安全で、妊婦の静脈血栓塞栓症のリスクが最大10倍であることと比較すると、今回の約3倍という数字はやはり低いと強調しています。経口避妊薬を止めるのではなく、もし懸念があれば医者に相談して薬のタイプを再検討するよう勧めています。
参考文献: https://cuta.jp/9673
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