Q8:食物アレルギーの経口負荷試験の手順について教えてください。
A8:小児期の食物アレルギーの大多数は、乳児期にアトピー性皮膚炎に合併して発症します。これらの多くは年齢が上がるにつれて自然緩解していきます(アウトグロー)。
食物アレルギーの診断において、特異的IgE抗体検査(CAPラスト検査)の結果は感作(アレルギーの準備状態、または過去のアレルギー歴)を意味し、食物負荷試験の結果と解離していることがあります。CAPラスト検査はあくまでも参考にとどめ、食物除去・負荷試験により正しく診断し、栄養障害を起こさないように必要最小限の食物除去を指導することが大切です。
アナフィラキシーの既往がある場合には食物負荷試験が行えないことがあります。アナフィラキシーを防ぐためにも、食物負荷試験は入院設備のある専門医のもとで行わなければなりません。
乳幼児アトピー性皮膚炎の場合、食物アレルギーの診断確定に至るまでには、環境指導やスキンケア、ステロイド軟膏療法の指導を行った上で、詳細な問診、症状の観察、食物日誌の活用、CAPラスト検査や皮膚テストによる原因食物の推定、食物除去そして負荷試験による原因食物の確定という手順をふんで行われます。
問診や食物日誌から疑われた食物を1~2週間完全に除去し、症状の改善が得られるか観察します。母乳や混合栄養の場合には母親の食事からも除去が必要な場合があります。除去によりアレルギー症状が改善したと考えられた場合でも確定診断は容易ではなく、最終的には食物負荷試験が必要になります。
食物除去試験や負荷試験のほとんどは、食物アレルギーの関与する乳幼児アトピー性皮膚炎に対して行われます。
参考文献:
1) 「食物アレルギー」 監修斉藤博久、編集海老澤元宏、診断と治療社
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