(1)カルシウム拮抗薬
生体の無機質精分の中で最も多いカルシウム(Ca)は、大部分が骨や歯に存在しますが、一部はCaイオンとして細胞の機能調節に関与しています。Caイオン濃度を細胞内外で比較してみると、細胞内は細胞外に比べ1万分の1と非常に低く保たれています。(図4)
* やや詳しい説明 *
動脈の血管壁には、平滑筋でできた層があって、この細胞が収縮することで血管は細くなり血圧が上がります。血管壁の細胞に刺激が加わると、細胞外から細胞内に向けて、細胞膜のカルシウムチャネル(Caイオンの通路)を通ってCaイオンの流入が起こります。このCaイオンの流入により、血管が収縮し血圧上昇がもたらされるのです。(図5)
Caイオンの通り道であるカルシウムチャネルをふさぐことで、平滑筋の収縮を浅江、血管をひろげ、血圧を下げることが出来ます。高血圧では、このカルシウムチャネルを含めて細胞膜に何らかの異常が存在するのではないかと考えられています。
カルシウム拮抗薬は、Caイオンの細胞外から細胞内への流入を、カルシウムチャネルの所でブロックします。その結果、血管が拡張し血圧上昇を抑えて血圧低下を起こす働きがあります。(図6)
血管が拡張すると血圧が下がるだけではなく、血液の流れが良くなるという大きなメリットがあります。血流が良くなると脳や心臓、腎臓といった臓器の保護作用が生まれてきます。
カルシウム拮抗薬の種類はたくさんありますが、薬の種類によって脳や心臓、腎臓の血管をより選択的に拡張させて血流を改善させる薬があります。たとえば、心臓の血管を冠動脈といいますが、冠動脈の拡張作用のあるカルシウム拮抗薬は、狭心症の予防効果があります。
pointカルシウム拮抗薬は血管拡張させて血圧を下げるだけではなく、血流を改善して動脈硬化を予防して臓器保護作用が期待できる。
カルシウム拮抗薬の欠点
反対にカルシウム拮抗薬の欠点もあります。血管が拡張して血流が良くなると、人によっては頭痛や顔のほてり、どうきが起こりやすくなります。このような症状が出やすい人には、カルシウム拮抗薬は生活の質を起こすことにもなり投与はできません。最近はどうきを押さえる働きのあるカルシウム拮抗薬もありますが、副作用の出方には大きな個人差があります。一般に、女性ほどこれらの症状が出やすい傾向がありますが、女性ホルモンとの関係、とくに更年期との関係が深いと思われます。
pointカルシウム拮抗薬では頭痛や顔のほてり、どうきなどが起こることがある。とくに女性で起こりやすい。また、カルシウム拮抗薬とグレープフルーツジュースとはいっしょに飲まないようにする(作用が強くなるため)。
*商品名:ノルバスク、アムロジン、アダラート、ペルジピン、ヘルベッサー、ニバジール、ヒポカ、バイミカード、バイロテンシン、カルスロット、コニール、スプレンジオール、ムノバール、ランデル、カルブロック など
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