血圧は、ストレス、喫煙、肥満、環境や日常の行動によって様々な影響を受けて変動しています。
つまり血圧を測定した時の状態によって値は変化します。(図26)

他人との比較ではたとえ平均血圧が同じでも、変動性(標準偏差)や最大到達値(最大収縮期血圧)が異なる場合があります。(図27) Bさんのように突出した血圧値を示すなど、変動性が大きくなっている場合、脳心血管イベント(脳卒中や心臓病)発症リスクが高まります。
診察室では血圧が上昇し、自宅では血圧が正常な白衣高血圧。診察室だけでなく、日常生活の中でも緊張などにより容易に血圧が上昇していることが推測できます。最近、職場血圧ということばを耳にする機会が多くなってきました。仕事中に血圧を測ると血圧が大きく変動していることは容易に想像できます。しかし、仕事に支障が生じるため職場で血圧を測ることは、言うほど簡単なことではないかもしれません。
脳卒中発症リスクは、受診毎の血圧変動性の大きな患者、最大到達値(最大収縮期血圧)が高い患者で高くなることが指摘されています。脳心血管イベントのリスク評価の指標として、収縮期血圧とともに血圧変動の大きさも考慮する必要があります。(図28)

最近のデータによれば、カルシウム拮抗薬が他の降圧薬に比べて収縮期血圧の変動幅を有意に縮小させることが分かってきました。(図29)
point現在の血圧測定方法ではそのときそのときのポイント測定しかできない。収縮期血圧以外のパラメーター、たとえば血圧変動や中心血圧などを考慮した新しい血圧測定機法が近い将来発案されるかもしれない。
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