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町医者の診療メモ Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

(よく見られる症状と診察のポイント)頭 痛

頭痛はもっとも一般的な身体症状の一つで、悩んでいる人も多いと思われます。軽い頭痛では市販の鎮痛薬などを服用したり、そのまま様子を見ることが多いことでしょう。しかしいつもの薬を飲んでも治らないとき、いつもと違う激しい頭痛を感じたときに、診療所に患者として来られます。このような時、くも膜下出血など命にかかわるような重篤な疾患が原因ではないか(これを二次性頭痛と言います)を、まず考えて除外しなければなりません。二次性頭痛が考えられないとき、慢性頭痛の原因としては、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などを考慮します。

一般には頭の左右の一部だけの痛みがあれば、すべてが片頭痛と誤解されていることがあります。典型的な片頭痛は診断に迷うことは少ないのですが、次のような頭痛では、診断や原因に困ることがあります。

  1. 毎日のように、ズキンズキンと脈打つような頭痛、首筋や後頭部が重くなるような頭痛(ここでは頭重感と表現することにします)が混在しながら持続するとき、そして今まで効いていた鎮痛薬が効かなくなったとき
  2. 頭痛といっしょにふわふわするようなめまいや吐き気が起こるとき
  3. 頭痛といっしょに歯が浮くような感じがするとき
  4. 頭痛といっしょにどちらか一方の目の奥がズキンズキンと脈打つように痛むとき、またはまぶたが重だるく感じるとき
  5. 首筋から左右どちらか一方の後頭部にかけて電気が走るような痛みが起こるとき、後頭部におもりが乗ったように重苦しく(頭重感)なり、首を動かすのも苦痛に感じるとき
  6. 頭痛といっしょに胸苦しさやどうき、酸素が足らなくなるような息苦しさを伴うとき
  7. 頭痛といっしょにめまいや耳閉感(トンネルに入った時のような耳の詰まった感じ)や耳鳴りを伴うとき
  8. 始めは比較的典型的な片頭痛と思われたのに、数年たつうちに頭痛の様子が異なってきて、片頭痛の特効薬と言われる薬が効きにくくなってきたとき
  9. ふわふわとした浮動性めまいとともに、耳閉塞感(トンネルに入った時のような耳の詰まった感じ)、難聴、耳鳴が頭重感とともに長期間続くとき

こうした頭痛は程度に差はあっても、フワフワとしためまい(ここでは浮動性めまいと呼ぶことにします)を伴うことが多いようです。これらをすべて正しく診断し説明することは容易ではありませんが、日常の診察では遭遇することのそれほど多くはない群発頭痛や二次性頭痛を除くと、ほとんどの慢性頭痛が片頭痛と緊張型頭痛のどちらかまたは両方に含まれるはずです。

しかし、慢性頭痛を緊張型頭痛、片頭痛などと明確に判別できないケースが、診療所の外来では多いのではないかと常々感じてきました。このような頭痛は女性に多くみられ、寝込むほどではなく日常生活は過ごすことはできます。しかし今まで効いていた鎮痛薬が効かなくなりましたが、もちろん薬物の乱用が原因ではありません。専門医に相談するほど重篤感はありませんが、近くの診療所で治療してもらって何とか軽くならないかと考えている、こういう頭痛が日常の診療ではもっとも多いのではないかという印象があります。

1から8に述べたような頭痛の多くが頸肩腕症候群(いわゆる肩こり)と片頭痛、またはそれらの両方が関係しているのではないかという経験から、個人的な見解を述べてみたいと思います。まれながら低音障害型感音難聴や脳脊髄液減少症と言われる病態が原因のことがあります。また頭痛の背景にうつ病や更年期障害が隠れていることもあります。

ここでは、まず初めに学会による「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」を簡単に説明して、頭痛に関する最近の知見を紹介したいと思います。さらに、個人的な見解を加えて身近な問題である頭痛を取り上げて考えることにします。

「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」の要点

頭痛は一般的な症状の一つと考えられていますが、疾患名(病名)としても「頭痛」が存在します。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの慢性頭痛は疾患単位として認識されています。頭痛は誰もが経験する機会の多い症状・疾患です。頭痛のガイドラインである「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」の概略を紹介します。

頭痛診療の進歩

1988年までは、1962年に公表された米国神経学会・頭痛分類特別委員会の頭痛分類をもとに診断が下されていました。これは頭痛を15タイプに分類して診断するものでしたが、実に簡単な分類のみで、診断基準もありませんでした。そのため、各人が各々の診断基準で頭痛の診断を行っていたような状態でした。

頭痛研究の基盤が整ったのは1988年に国際頭痛学会から新しい診断基準が発表され、世界共通の頭痛診断基準として用いられるようになってからです。その後、2004年に改訂された診断基準が同学会から発表されました。わが国でも日本頭痛学会や日本神経学会が中心となって「慢性頭痛」の研究が進み、2002年にはこの基準にのっとったガイドラインが作成され、その後改訂基準に準拠したガイドラインが作成されました。それが2006年にまとめられた「慢性頭痛の診療ガイドライン」です。

それから数年が経ち、日本においても多くの頭痛外来が設立され、2001年頃から使い始められた片頭痛急性期治療薬トリプタンも臨床現場へ急速に普及してきました。また、2006年のガイドラインで紹介された片頭痛予防薬も広がりを見せています。こうした頭痛に関する知見の増加など、頭痛診療を巡る大きな変化が見られていることからガイドラインが見直され、2013年の改訂に至りました。

ガイドライン2013の概略

この改訂の方針として、2006年版の構成にならって作成することが決められました。2006年版でもClinical Question(CQ)を採用していたので、形式は変えず、同様に以下の八つの章に分けられました。

I.頭痛一般
II.片頭痛
III.緊張型頭痛
IV.群発頭痛およびその他の三叉神経・自律神経性頭痛
V.その他の一次性頭痛
VI.薬物乱用頭痛
VII.小児の頭痛
VIII.遺伝子

頭痛の分類と診断

「頭痛はどのように分類し診断するか?」は、CQとして本ガイドライン第一の質問として挙げられています。実際には片頭痛(前兆のない片頭痛と前兆のある片頭痛)、緊張型頭痛、群発頭痛、薬物乱用頭痛などを考慮する必要があります。改訂された診断基準で新たに分類項目とし「精神疾患による頭痛」が加えられました。

片頭痛の治療と発作の慢性化の問題

片顔痛は慢性頭痛の中でもたいへん強い症状を示す頭痛で、全国に800万人患者がいると言われています。好発年齢は20~40代と若く、片頭痛により日常生活が大きく制限されていることを考えると、社会的にも大きな影響を及ぼしている疾患であると言えます。

片頭痛急性期の治療は薬物療法が中心です。前回のガイドラインが出された2006年以降、保険診療の中で使用可能な薬剤も増えており、治療戦略の幅は広がっています。治療薬としては、(1)アセトアミノフェン(2)非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)(3)エルゴタミン製剤(4)トリプタン(5)制吐薬があり、片頭痛の重症度に応じた治療が推奨されています。

現在の急性期治療の主役はトリプタンであり、かつて多く使われてきたエルゴタミン製剤は、トリプタンの登場により次第に使用されなくなってきています。重症な患者であれば初めからトリプタンを用い、軽症な患者であればNSAIDsで治療を開始することが推奨されています。制吐薬については補助的に使用されることが多いです。

片頭痛の中には、発作回数が増加し、発作が慢性化する場合もあることが明らかになっています。これは「慢性片頭痛」と呼ばれ、頭痛の性状が変化し、一部緊張型頭痛の性質も示すことがあるもので、診断基準にも定められています。ただし薬物の乱用によって慢性の連日性の頭痛となることもあるため、その区別には十分な問診が必要です。薬物乱用頭痛については特に注意する必要があります。

予防療法の重要性

急性期治療薬だけでなく、頭痛の予防薬も選択肢が増え、予防法の重要性は大切です。片頭痛発作が月2回以上あるいは6日あり、日常生活・社会生活にまで影響を及ぼしている患者には、予防薬を併用し、発作の回数・程度を軽減するこが推奨されます。薬剤には、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、β遮断薬、抗うつ薬があり、予防療法における有効性のエビデンスの強さと効果、有害事象のリスクなどから、Group1(有効)、Group2(ある程度有効)、Group3(経験的に有効)、Group4(有効、副作用に注意)、Group5(無効)の5つにグループ分けされています。

有効性が高く、有害事象が少ない薬剤を低用量から開始するのが理想であり、まずはカルシウム拮抗薬ロメリジン(商品名ミグシス など)、あるいは抗てんかん薬バルプロ酸(商品名デパケン など)から開始するのが一般的と言えます。なお、妊娠を前提としている際はこれらの薬剤は使用できないので、β遮断薬のプロプラノロール(商品名インデラル など)を使用することが推奨されます。

処方後、有害事象がなければゆっくりと増量していき、2~3ヶ月かけて効果判定を行います。3~6カ月間継続し、片頭痛がコントロールできるようであれば予防薬を漸減していき、最終的に中止します。薬剤の選択は片頭痛以外の併存する疾患、患者のニーズや身体的状況も考慮した上で行います。

片頭痛治療における最近のトピックス

本ガイドラインでは「スマトリプタン在宅自己注射ガイドライン」「バルプロ酸による片頭痛治療ガイドライン(暫定版)」「プロプラノロールによる片頭痛治療ガイドライン(暫定版)」など、頭痛診療に必要な新たなトピックも多数含まれています。

参考文献
1.医学書院「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」監修:日本神経学会・日本頭痛学会
編集:慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会
2.診療ガイドラインニュース「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」荒木信夫埼玉医科大学神経内科教授
 Medical ASAHI 2013 November P31-33

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