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町医者の診療メモ > 子どもや思春期の頭痛 

町医者の診療メモ Dr.みやけの20年の経験で培われた一種の「診察のコツ」をまとめます。

子どもや思春期の頭痛

子どもや思春期の頭痛のうち、第一に診断しなければならないのは片頭痛です。片頭痛は低気圧、強い日ざし、人混みなど何か要因が加わったときに、発作的に起こる強い頭痛です。頭痛がないときはふつうに生活ができ、むしろ活発な子が多いようです。
 
一方、毎朝頭痛を訴え、登校できないと訴えるいわゆる思春期(おもに小学校高学年から中学生)の慢性連日性頭痛(CHD)は、子どもも親も治りたいという期待感の強い頭痛ですが、難治性のことが多いです。その理由としてCHDは、環境や心理的な背景をもとに起こることが多いからです。このような心理社会的要因の関与する頭痛は、鎮痛薬や予防薬は効きにくく、子どもと親を支えながら長期間経過をみる必要があります。思春期では親が席を外すと会話がスムーズにいくことも多いので、心の問題がありそうなときは子どもだけと話す時間を設定するなどの配慮が必要です。

頭痛の検査

子どもの頭痛では初診時に検査が必要な頭痛は少ないですが、まれに高血圧による頭痛があるため血圧測定は必要です。血液・尿検査は、頭痛や鎮痛薬、予防薬使用の前検査としても必要で、できれば甲状腺機能なども含めて行います。

子どもの頭痛の診断

子どもの主な頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛です。

1)片頭痛と緊張型頭痛の診断

これらの頭痛の診断は成人と同じ方法で行います。表1に両者の相違点と特徴が記してあります。

(表1)片頭痛と緊張型頭痛の相違点と特徴(国際頭痛分類第3版beta版:ICDH-3β)
  片頭痛 緊張型頭痛
発作的な頭痛
持続時間 4~72時間
18歳未満は2~72時間でも
よいかもしれない
30分~7日間(※1)
部 位 片側性
18歳未満は両側性(前頭側頭部)が多い
両側性
性 質 拍動性 非拍動性(※2)
強 さ 中等度~重度 軽度~中等度
日常的動作による悪化 +
悪心・嘔吐
光過敏・音過敏 (※3)
家族歴(※4) 濃厚 希薄
(※1)慢性緊張型頭痛:絶え間なく続くことがある
(※2)圧迫感または締め付け感
(※3)緊張型頭痛では、光過敏、音過敏はいずれか1つのみ
(※4)ICHD-3 βにない
 

2)慢性連日性頭痛(CDH)

CDHは1日に4時間以上、1ヶ月に15日以上、3ヶ月以上持続する頭痛で、主な頭痛の原因は慢性片頭痛と慢性緊張型頭痛です。成人では鎮痛薬の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)を考えますが、子どもや思春期の若者では心理社会的要因の有無により、慢性緊張型頭痛が主であるかどうか判断します。

小児一次性頭痛の簡易診断アルゴリズム

子ども頭痛の治療

1)片頭痛の治療

不規則な睡眠や食事、生活習慣など頭痛発作を起こす要因があればそれを正すようにして、薬を使わない治療を試みます。しかし、日常生活が妨げられるほど強い頭痛を持つ子どもには、積極的な薬物治療が必要になります。

(1) 急性期治療薬:

エビデンスがあるのはイブプロフェンとアセトアミノフェン(年齢制限なし)とスマトリプタン点鼻薬です。

(2) 予防治療薬:

急性期治療薬の使用が月に6~10日を超える場合、毎回おう吐を伴う場合などには予防治療が必要です。パルブロ酸は片頭痛予防には保険適応がありますが、肝機能障害悪化の可能性があるため、開始前後の血液検査など子どもの使用には十分注意が必要です。抗うつ薬のアミトリプチリンやCa拮抗薬ロメリジン(思春期以降)も投与可能です。

2)慢性連日性頭痛(CDH)の治療

CDHの子どもには、頭痛ダイアリーの記録が役立ちます。ダイアリーは子どもや親がストレスに気づくきっかけとなります。また頭痛の診断や治療の有効性の判断、子どもの環境調整にも役立ちます。予防薬を使用しながら、精神面でもサポートを続けていくと、心の内面を表現できる年齢になる頃から頭痛は軽減し始め、発作性の片頭痛のみとなることが多いようです。

脳腫瘍や脳血管の病気、副鼻腔炎など原因のある二次性頭痛は子どもでは3~4%と少なく、頭痛があるから画像検査が必要というわけではありません。むしろ原因疾患のない一次性頭痛の片頭痛と緊張型頭痛の診断ができれば、画像検査を避けることができます。とくにCTは放射線被曝の問題があり、子どもには反復検査は避けるべきです。このため過去の検査歴を十分聴取し、必要があれば脳MRI・MRAを計画します。

A:緊急に脳外科に紹介すべき頭痛

今までに経験したことのない激しい頭痛、頭蓋内圧亢進症状(頭痛、おう吐、視力障害など)、進行する神経症状(失調、片麻痺など)、意識消失またはけいれん発作などでは、緊急の検査が必要です。

B:早めに画像検査ができる医療機関に紹介すべき頭痛

最近発症した強い頭痛、以前からの頭痛の重度や頻度が増したとき、後頭部の頭痛、頭痛のため睡眠途中に目が覚める、朝のおう吐を伴う頭痛(脳腫瘍や脳血管の病気の疑い)、大きな息をしたときの脱力発作があるとき(もやもや病の疑い)も早めに画像診断が必要です。

C:一般外来で経過をみてよい頭痛

発熱と激しい頭痛が持続するときは、髄膜炎に対する注意が必要です。しかし熱のないときの慢性頭痛のほとんどは片頭痛と緊張型頭痛で、このうち強い頭痛で治療が必要なのは片頭痛です。片頭痛には鎮痛薬を処方し、頭痛(前兆も含む)が始まったらできるだけ早く内服するように勧めておきます。

子どもの頭痛では頭痛のみでなく、子どもの置かれた環境もみることが大切

頭痛を訴える子どもは多いのに、子どもの頭痛を積極的に診る専門医は少なく、危険な頭痛を心配するあまり脳神経外科などへの紹介が多いようです。原因のない一次性頭痛のうち、片頭痛が3/4を占めます。このため片頭痛の診断ができれば、多くの頭痛を持つ子どもと保護者の不安を取り除くことができます。片頭痛は幼児からみられ、両親のいずれかに頭痛持ちがいることが多いです。一方、片頭痛を経験している子どもが思春期になって何らかのストレスがかかると、発作性頭痛が慢性化しCDHになることがあります。このCDHについても、かかりつけ医であれば早めに心理社会的要因を読み取り、適切な助言ができます。頭痛診療において、頭痛のみを診るのではなく、子どもの置かれた環境をみることは大切です。頭痛は心の葛藤の表現としては最も多い症状であることに注意しなければなりません。

参考文献:
藤田 光江、田原 卓浩、「小児の頭痛」、Medical ASAHI 2014 December 

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