Q7:乳幼児期に食物アレルギーがあると、成長してから(学童や大人)食物アレルギーになりやすいですか?
A7:乳児から幼児早期の即時型食物アレルギーのおもな原因である鶏卵、乳製品、小麦の多くは、その後加齢とともに80~90%が軽くなりやがて消えていきます。これをアウトグロー(耐性獲得)といいます。
乳児期は、消化機能や腸管のバリアが未熟で、未消化な食物たんぱくが侵入しやすいうえに、免疫学的にも、Th2リンパ球が優勢でIgE抗体を作りやすく、免疫学的寛容も成立しにくいのに対し、成長によって克服していくと考えられています。
しかし、一方ではアレルギーになりやすい体質の子どもは、成長につれていろいろなアレルギー疾患に順番にかかっていきやすいことが分かっています。これを行進にたとえて、アレルギーマーチと呼びます。
例えば、皮膚状態が良くなると何年かして気管支喘息、あるいはアレルギー性鼻炎になったりします。ただ誰もがそのように次から次へと発症していくわけではなく、食物アレルギーだけで終わってしまう、アトピーだけが残る、そのどちらも治まって喘息だけ出る、または鼻炎を合併するなど、さまざまなパターンがあります。
食物アレルギーは、アレルギーマーチのうち最初に認められ、アトピー性皮膚炎を伴って発症する場合が多いようです。
全体数からみると食物アレルギーは乳幼児期に多く、成長につれて少なくなっていき、大人になるともっとも少なくなります。しかしその反面、成長につれてアレルギーの原因となる食物は多様化していき、症状も気管支喘息からアナフィラキシーショックへと重症化する傾向にあります。
このような傾向は最近とくに顕著になってきつつあり、これから将来にかけて、より深刻な問題になるのではないかと心配されます。こうした背景には、さまざまな環境の変化などが、複雑に関係しているのではないかと推測されます。
※このサイトは、地域医療に携わる町医者としての健康に関する情報の発信をおもな目的としています。
※写真の利用についてのお問い合わせは こちら をご覧ください。