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Q1:海外渡航の際に個人衛生上の観点から受けておいた方がよい予防接種はどんなものがありますか?
A1:破傷風、A型肝炎、狂犬病、日本脳炎、ポリオなどの予防接種です。
Q2:どうして破傷風の予防接種が必要ですか?
A2:我が国の破傷風の患者数は昭和24年の2168人をピークに徐々に減少し、最近では毎年50人前後の人が発病し、20人前後の人が死亡しています。
破傷風は死亡率の非常に高い病気として知られています(約25%)。
破傷風は交通事故などによる大きな外傷だけでなく、日常のささいなけがや刺し傷が原因でまれならず起こります。海外で漁業・農業・林業や土木・建設業に携わる場合にはとくに危険性が高いと考えられます。海外でこうした仕事に従事する時には予防接種を受けておくことが勧められます。
破傷風は世界的に広く分布しており、東南アジア・中南米など発展途上国では重要な死因の一つになっています。破傷風トキソイドはきわめて有効なワクチンなので、ぜひ接種を受けておくべきです。
Q3:子どものときに受ける三種混合だけでは一生破傷風は予防できませんか?
A3:生後三ヶ月から乳幼児には三種混合(DPT)が接種されます。三種混合ワクチンには破傷風トキソイドが混合されています。
三種混合の1期追加を接種することにより破傷風の抗体価は高く上昇し、少なくとも5-6年間は発病防止水準を維持することができます。
その後、発病予防水準以下に下がった場合でも1回の追加接種で早急に抗体が産生されます。小・中学校時に接種する二種混合は、けがの多いこの時期に破傷風の抗体価を保つのが目的で、各1回接種します。
Q4:破傷風トキソイドの追加接種はどんな場合に受けるとよいでしょうか?
A4:三種混合と二種混合を規定通り受けていたとしても、最終の中学校の時の接種から5-6年たつと抗体価は発病防止水準以下に下がってきます。
このため、中学校以降も4-5年に一度追加接種を行うのが理想といえます。
一方、破傷風の免疫については最後の予防接種から少なくとも約20年間は免疫記憶があり、反応性を維持していることが明らかになっています。この期間は必要に応じて追加接種を受けると、抗体価が発病防止水準以上に上がってくることが期待できます。このような理由からも小児期に三種混合を規定通り済ませておくことはたいへん重要です。
Q5:乳幼児期に三種混合や二種混合の接種を受けたことがない時、また受けたかどうかはっきりしない時にはどうしたらよいですか?
A5:受けたかどうかはっきりしない時には、受けたことがないものと考えて接種します。
初回接種として破傷風トキソイドを通常0.5ccずつ2回、4-8週の間隔で注射します。その後6-18ヶ月の間に1回追加接種します。以降の追加免疫の時期については、4-5年に1回行うことが望まれます。
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