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Q1:海外から帰国した時、どんな症状が出れば海外での感染症を疑う必要がありますか?
A1:海外感染症の主な感染経路は(1)腸管(経口感染を含む)、(2)寄生虫や昆虫、動物から皮膚を経て感染するもの、(3)血液を介する場合、(4)HIV感染や性病など性行為をかいする場合など に大別できます。
ほとんどは(1)と(2)からと考えられますが、腸管感染症は下痢が主症状で、皮膚を介する感染症は発熱が主症状となります。したがって、帰国後に発熱や激しい下痢が起こった時には海外感染症を疑う必要があります。
Q2:下痢を主症状とする海外での感染症はどんなものが考えられますか?
A2:一番多いのは旅行者下痢症といわれる食中毒(細菌性腸炎など)の一種です。
その他には、腸チフス・パラチフス、赤痢やコレラ、寄生虫による下痢が挙げられます。
衛生状態の良い国から、悪い土地に旅行する時、最もかかりやすい病気は下痢症です。旅行先では食品の保存法、調理法の違いだけでも下痢を起こすことがあり原因は多様ですが、総称して旅行者下痢症と呼ばれます。欧米人の統計では、東南アジア、インド亜大陸、アフリカ、中南米諸国に旅行に出かけて一週間以内に下痢症を起こす頻度は約35%とされています。
Q3:旅行中、下痢にならないための注意は何ですか?
A3:旅行者下痢症の主な感染経路は、飲料水、果物・野菜です。
水道水が安心して飲めない地域では、飲料水は100℃、1分間以上煮沸したものに限ること。野菜・果物や食器を洗う水も一度煮沸したものを使うようにしましょう。
口に入れるものは原則として加熱したもの、果物はオレンジやバナナのように皮の厚い物を選ぶなどの配慮が必要です。ジュースや氷はしばしば水で作ってあり下痢の原因になります。野菜サラダや生チーズも要注意の食品です。
しかし、どんなに注意していても旅行中に下痢が起こるかもしれません。このような緊急事態に備えて、抗生物質とげり止めの薬はぜひ用意して出かけたいものです。
Q4:旅行者下痢症のおもな起因菌は何ですか?
A4:発展途上国はもちろん、欧米諸国に行ってもときおり下痢を起こします。
病原菌は大腸菌が最も多く、赤痢菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、キャンピロバクター、などがこれにつぎ、ごくまれにコレラ菌が関係します。
Q5:腸チフスはどんな病気ですか?
A5:本HPの 海外旅行者のための予防接種の知識-7.腸チフス をご覧下さい。
Q6:帰国後に発熱を生じた場合には、どんな感染症が考えられますか?
A6:海外から帰国後に生じる発熱を主な症状とする感染症は、マラリア、腸チフス・パラチフス、デング熱、A型肝炎などです。
我が国においてマラリアだけでも年間100人以上の感染者がいます。発熱やかぜの症状を疲労のせいと簡単に考えていると、取り返しのつかない結果を招きかねません。
Q7:マラリアはどんな病気ですか?
A7:本HPの 海外旅行者のための予防接種の知識-6.マラリアをご覧下さい。
Q8:デング熱はどんな病気ですか?
A8:デング熱は東南アジア、インド亜大陸、オセアニア地域、カリブ海諸国、南米、アフリカの広い範囲で流行しています。
主としてネッタイシマカにより媒介されます。マラリアのハマダラカと違って、昼間に刺されます。
デング熱は急性のインフルエンザ様の全身性疾患でとくに発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛などを伴います。発疹が出ることもあります。予後はおおむね良好ですが、出血傾向を示すものはデング熱出血と呼ばれ重症です。
東南アジアのマラリア媒介蚊は清流で生息するので、大都会内で感染することはありません。しかし、デング熱を媒介するネッタイシマカは大都会の汚れた水、花瓶や古タイヤの中の水でも増えるので、旅行者が感染する危険性は高いといえます。
マラリアやデング熱の危険地域に旅行する時は、長袖のシャツに長ズボンを着用するとともに、虫よけスプレーを使用すると効果的です。
Q9:A型肝炎はどんな病気ですか?
A9:本HPの 予防接種-11.A型肝炎 をご覧下さい。
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