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Q1:腸チフス・パラチフスについて教えて下さい。
A1:チフスは世界各国、特にアジア、中東、東ヨーロッパ、アフリカ、中南米諸国に多発している病気です。
腸チフスの年間患者数は全世界で1600万人、死者は60万人と推定され、旅行者だけでなく流行地では今なお重大な問題です。
腸チフスは不衛生な飲食で感染する病気です。旅行先がA型肝炎の流行地なら腸チフスも要注意です。ただし、A型肝炎と違い、抗生物質治療で治る病気です。生水、氷、野菜・果物を避けることはもちろんですが、不衛生な飲食店や屋台などで飲食を避けることも重要な予防法です。
ふつう、コレラや赤痢は海外旅行から帰国する前か、帰国してすぐに下痢が現れますので、危険な病気かどうかすぐに分かります。しかし、腸チフスでは潜伏期間が長いため、どこで感染したか、何が原因かほとんど特定できません。このためチフスの危険性に気がつかないことが多いようです。
Q2:腸チフス・パラチフスはどんな病気ですか?
A2:パラチフスは腸チフスのやや軽いものと考えてよいでしょう。
チフス菌を持ったネズミからの排泄物に汚染された水や食品を摂取することにより感染します。また、赤痢菌と同じように食器などについた少量の菌で感染することもあります。
1~3週間の潜伏期間後、段階的に上昇する発熱、バラ疹(胸腹部に現れる淡い紅色の小指の爪の大きさくらいの発疹)、下痢や便秘などが主な症状で、腹痛を伴うことがあります。感染初期には下痢が少ない特徴がありますが、重症になると意識障害を起こすことがあります。現在では重症例はあまりみられません。
Q3:腸チフスの予防接種について教えて下さい。
A3:腸チフスワクチンにはいくつかの種類がありますが、いずれも我が国では未認可です。
ただし、申請をすれば輸入は可能です。海外勤務健康管理センターでは、Viワクチンを輸入しています。Viワクチンは1回注射をすれば3年間有効とされています。約7%に注射部位の発赤や硬結がみられます。
Q4:腸チフスワクチンは有効ですか?
A4:Viワクチンは1注射をすれば3年間有効とされています。
しかし、有効性は60~70%といわれていますが、効果を疑問視する意見もあります。
健康であれば人間には基礎的な抵抗力がありますので、少々病原体が体内に侵入しても発病することは少ないと考えられます。無理な旅行日程などによって体調を崩すことがないように心がけることも大切です。
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