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Q1:海外旅行に出かける時にどうして日本脳炎の予防接種が必要ですか?
A1:日本脳炎は蚊(コガタアカイエカ)が媒介するウィルスによって起こる強烈な感染症です。
日本では農薬の使用によりコガタアカイエカは少なくなりましたが、最近殺虫剤に抵抗性をもった蚊が出現し、その数は年々増加しています。ウィルスの活動を示すブタの抗体保有検査でも、毎年日本各地が日本脳炎汚染地域になっています。
日本脳炎は日本以外にも、東アジアから東南アジアを経て南アジアにいたるアジアモンスーン地域に広く発生しています。この地域は適度の温度と降雨に恵まれ、主食となる米の水田耕作が盛んで、ブタの飼育頭数も増加傾向にあるためと考えられます。日本脳炎は欧米の人がアジアを訪れる時最も恐れている感染症の一つです。
Q2:日本脳炎とはどんな病気ですか?
A2:日本脳炎はコガタアカイエカが媒介する日本脳炎ウィルスにより起こる感染症で、野本では夏から秋(7~9月)にかけて患者が発生します。
約4~14日の潜伏期の後、40℃以上の高熱、激しい頭痛、めまい、意識障害、けいれん発作、昏睡状態といった症状が1週間くらい続きます。一度発病すると適切な治療を受けても1/3は死亡し、1/3は知能障害、性格変化、運動障害などの後遺症を残す怖い病気です。
このような定型的な症例の他、髄膜炎型、不全型、不顕性感染型(感染しても発病しない)などいろいろな病型があります。
Q3:東南アジアなどに出かける時は、日本脳炎の予防接種は受けた方が良いでしょうか?
A3:日本では患者の発生は少なくなりましたが、アジアの流行地では依然として大きな流行があります。
時期にもよりますが流行地に出かける時はできるだけ受けておいた方が安心です。
子どもの時に基礎免疫を受けている人は1回追加接種を受けて下さい。全くワクチンを受けていない人は基礎免疫から受けて下さい。
Q4:日本脳炎の予防接種について教えて下さい。
A4:日本脳炎の予防接種は基礎免疫と追加免疫に分かれています。
基礎免疫は1~2週の間隔をおいて2回接種し(これを初回接種と呼んでいます)、およそ1年後にさらにもう1回接種します(これを追加接種と呼んでいます)。これら3回の接種(初回接種と追加接種)を基礎免疫と呼んでいます。この基礎免疫により日本脳炎に対する発病防止の機構ができあがると考えられています。
初回接種をしただけでは、つくられる抗体量はあまり多くはなく、およそ1年後には有効水準以下になってしまうことがあり、1年後に追加接種が必要です。これによって比較的短期間に多量の抗体がつくられ、免疫効果はおよそ2~3年続くといわれています。この基礎免疫だけは誰もがつけておく必要があります。
基礎免疫を完了している人は免疫を維持するために、追加免疫が必要になることがあります。その効果は初めて予防接種を受けた時よりも早く表れ、接種後1週間くらいから期待できます。
*日本脳炎予防接種について詳しくは本HPの 健康いろいろQ&A-予防接種-3.日本脳炎をご覧下さい。
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