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よく見られる大人の病気・症状(大人の日常起こりやすい症状や病気について、写真やイラストを用いて分かりやすく解説しています)

頻 尿

Dr.みやけ

トイレに行って用を足してもまたすぐに行きたくなる、このような症状で困っている人は少なくありません。

このように便所に行き尿をする回数が増えることを頻尿といいます。頻尿には1回の尿の量も増加する多尿を伴う場合と、尿意(尿をしたくなる気持ち)はひんぱんに起こっても1回の尿量は少ない場合に区別されます。

頻尿とは

膀胱の容量はふつう200~300ccです。約150ccたまると軽い尿意を、250ccたまると強い尿意を感じるようになります。平均的な尿回数は、昼間は4~5回、夜間は0~2回前後です。一日平均1,000~2,000ccの尿量がありますが、水を多量に飲めばそれほど尿の量も回数も増えてきます。
さらに老人になれば、腎臓の尿を濃くする力(尿濃縮力)が低下するので尿の回数は多くなりがちで、とくに夜間に尿に行く回数が増えてきます。夜間に1~2回小便に起きるのは異常とは言えません。

いろいろな原因で尿の回数が増えてきた状態を頻尿といいますが、昼間に8回以上、夜間睡眠時に3回以上、合計で一日8~10回以上トイレに行く時は頻尿といえるでしょう。頻尿は昼間や夜間を通して起こるのがふつうですが、昼間だけ起こる場合や夜間だけ起こり昼間はふつうの場合がしばしばあります。

頻尿の原因

頻尿の起こる原因としては膀胱や前立腺など泌尿器系の臓器に病気が存在して起こるものと、とくに原因がなく起こる頻尿とに区別できます。

尿の回数が多くなる時に、他の自覚症状を伴うかどうかが原因の手がかりになることがあります。たとえば膀胱炎や前立腺炎では排尿時の痛みや不快感、残尿感を伴うようになります。また膀胱炎や尿道炎では尿の検査で赤血球や白血球、細菌などが認められます。
前立腺炎(細菌性)では前立腺をマッサージすると白血球が混入するようになります。このように尿の性質の変化から診断できるものは、診断も比較的容易です。

尿の回数だけでなく、1回の尿量も異常に増えている場合は多尿と呼ばれ、尿崩症や糖尿病、慢性腎不全などが疑われます。

中・高年の男性で尿が出るまでに時間がかかったり、尿が出てもチョロチョロとしか出てこない時には前立腺肥大症が考えられます。前立腺肥大症では夜間に何回も小便に行きたくなります。
最も多いのは尿の回数は増えているものの、他の自覚症状はなく、尿量も何回もトイレに行くためにほとんど出ないか、出てもごく少量の場合です。
この場合、膀胱内の腫瘍などにより膀胱容量が減少してくる可能性や、子宮筋腫や卵巣腫瘍など膀胱周囲の臓器の異常により膀胱が圧迫された可能性を考える必要があります。

しかし頻尿の原因でしばしばみられるものは「神経性頻尿」と呼ばれるものです。

神経性頻尿とは

誰でも緊張すると尿意が起こってきますが、過度に尿意を気にするようになると、少し膀胱に尿が溜まっただけでも尿意を感じるようになってしまいます。
神経性頻尿は精神的ストレスや緊張のために何度もトイレに行きたくなった経験や、電車や車、学校などでトイレをがまんした経験をきかっけに、尿意に対する恐怖心が植え付けられてしまった結果、起こることが多いようです。気にするとよけいに尿意を生じるという悪循環に陥ってしまい、日常生活にも支障を来すようになります。

神経性頻尿では尿意以外の自覚症状はなく、尿の性状もきれいでにごりは認められません。比較的若い女性に多いため、腹部エコーで下腹部を調べますが卵巣や子宮に異常は認められません。
夜間睡眠時や何か他のことに集中している時には尿意は消えています。

女性で膀胱炎を起こした後に、神経性頻尿を発症することがあります。
頻尿の他に残尿感や排尿時の不快感・痛みなど膀胱炎とそっくりの症状が起こってきますが、尿を調べても膀胱炎の時のような尿の異常は認められません。軽いものでは膀胱炎のときのように抗生剤の内服を行うと自然に良くなっていきます。

神経性頻尿の治療としては膀胱の過敏性をやわらげ、余分な収縮を抑える薬(抗コリン薬)が効果的です。心因的な要素が強い時には抗不安薬、自律神経調整薬、抗うつ薬などが必要になることもあります。

過活動性膀胱とは(図1)

過活動膀胱の症状
図1過活動膀胱の症状

不意に強烈な尿意が特徴の「過活動性膀胱」が中高年世代にみられることがあります。細菌の調査では40歳異常の12%、約800万人に何らかの症状があると推定されています。高齢になるほど患者は多く(80歳代では40%近く)、女性より男性に多い傾向があります。

健康な人では膀胱に400-500ccの尿がたまると最大尿意を生じ、排尿のための筋肉収縮が起こる仕組みがありますが、過活動性膀胱ではたまった尿の量とは無関係に、勝手に筋肉が収縮し、予測のつかない尿意を引き起こしてきます。
突然トイレに行きたくなり、一刻もがまんできないというものから、一日に十回以上もトイレに行ったり、一晩に何回も目覚めることがあります。こうなると心の健康への影響も深刻になります。

膀胱を支配する自律神経の障害や脳への近く伝達の異常などが原因として考えられています。治療としては抗コリン薬などの薬物療法と定時的に排尿を行うなどの行動療法と組み合わせると効果的といわれています。

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